研究課題/領域番号 |
23501249
|
研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
須山 聡 駒澤大学, 文学部, 教授 (10282302)
|
研究分担者 |
平岡 昭利 下関市立大学, 経済学部, 教授 (90106013)
宮内 久光 琉球大学, 法文学部, 教授 (90284942)
松井 圭介 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (60302353)
|
キーワード | 離島 / 島嶼性 / 自己完結性 / 開放性 |
研究概要 |
本研究は,離島を特徴づける要素としての自己完結性と開放性に着目し,両者をそれぞれ「まとまり」「つながり」ととらえ,「まとまり」と「つながり」の様態によって各離島の地域的特性,すなわち島嶼性が形作られるとの仮説に立つ。これら2つの概念を指標化し,両者をクロスさせることで離島を類型区分し,それぞれの類型から離島の地域的な性格,すなわち島嶼性を解明することを本研究の目的とする。 本年度は昨年度に引き続き「まとまり」と「つながり」の指標化と得点化を研究計画の中心に据え,関連資料・統計データの収集と入力作業を行った。また,「まとまり」の指標化の一環として各離島の地域社会の紐帯を見いだすために,研究代表者および研究分担者がそれぞれ重点を置く離島のフィールドワークを実施した。 「まとまり」指標に関してはとくに研究代表者の須山がフィールドとする奄美群島において,村落行事や儀礼,学校行事が指標となり得ることを見いだしつつある。また,「つながり」については,宮内が航路・航空路と人口移動の観点から指標を作成している。 本年度はこの研究目的に関連して,研究分担者の平岡が『アホウドリと「帝国」日本の拡大』を出版した。同書は明治・大正期における日本の領土拡大がアホウドリをはじめとする離島資源の略奪的獲得を目的としたものであることを明らかにしている。これはいわば離島間の「つながり」が延長される過程を動態的にとらえた,貴重な研究成果である。 また,須山は奄美大島における芸能の継承活動と,郷土料理の商品化について論文を発表し,宮内は日本における島嶼研究の包括的なレビューを口頭発表した。さらに松井がキリシタンツーリズムに関する成果を出版する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は東日本大震災の影響で現地調査が遅滞したが,本年度は被災地以外の地域,とくに沖縄・奄美での調査が進展した。「まとまり」「つながり」の指標化と類型区分にはほぼ目処が立った。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は「まとまり」「つながり」による類型区分を実施し,各類型に属する島に共通する地域的特徴を見いだし,本研究の成果をまとめる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
来年度は類型別の地域的特徴を確認するための現地調査と,成果をとりまとめるための会議に研究費の多くを利用する予定である。
|