研究課題
膜からの小胞形成過程は、small GTPaseであるArgと、その活性化タンパクであるArfGAPによって調節されている。SMAP1・2遺伝子は、研究代表者らが同定・発見した、ArfGAPファミリーの一員である。平成23・24年度において、SMAP1(-/-)マウスを作出した所、本マウスがヒトの骨髄異形成症候群(MDS)に類似の血液像を示し、さらに急性骨髄性白血病(AML)を続発することを観察した。さらにその分子病理学的メカニズムを探索し、SMAP1(-/-)の骨髄細胞では、活性化Arf量が増加し、トランスフェリンのエンドサイトーシス亢進と、取りこまれたc-kit分子のライソゾームにおける分解が遅延しており、これが血球分化の脱制御と増殖亢進をもたらすものと結論された。平成25年度は上記の、トランスフェリン・エンドサイトーシス亢進につきさらに解析を深めた。即ち、SMAP1(-/-)細胞における取りこみ亢進は、SMAP2が代償性に働くことによるものであることを、SMAP1,2の欠損MEF細胞、siRNAによるノックダウン等の手法を用いて証明した。従ってSMAP1は野生型細胞においては本来的には、トランスフェリン取りこみに対して正の作用を有するものである。また、内在性に発現しているSMAP1とSMAP2タンパクが、相互作用しうることも判明した。両タンパクはそのC末端部分を介して結合する。
すべて 2013
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Mol Biol Cell.
巻: 17 ページ: 2633-2644
10.1091/mbc.E13-05-0234.