研究課題/領域番号 |
23501259
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
孫 継英 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 講師 (80397926)
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研究分担者 |
田代 聡 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20243610)
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キーワード | 染色体転座 / ATM / RPA / RAD51 |
研究概要 |
染色体転座による遺伝情報の改変は、がん、白血病や先天異常の発生の根本的な原因となりえる。染色体転座は放射線や化学物質などによるDNA二本鎖切断(DSBs)の誘導とその修復エラーにより形成されると考えられているが、その詳細については未だ不明である。本研究は、抗がん剤エトポシドによる治療関連性白血病に関わる11q23転座をモデルとして、DSBsの修復機構に関連する因子の染色体転座切断点集中領域への集積とその分子機構について検討することにより、染色体転座形成の分子機構を解明に取り込んできた。DNA 損傷シグナル伝達調節因子ATMは様々なタンパク質分子をリン酸化することで、細胞分裂を一時停止し、DSBsを修復する生化学反応を起動させる。我々は、ATMによるRPAのリン酸化がエトポシド処理後のRAD51のBCRへの結合を抑制し、11q23転座形成の阻止に重要な働きをしているのではないかとの仮説を立てた。 平成24年度は、構築した非リン酸化及びリン酸化模倣変異体RPA2発現ベクターを用いて野生型及び変異型のRPA2の安定性発現細胞株を確立し、Dual color FISHを用いて解析した結果、リン酸化模倣変異体RPA2の発現したATM欠損細胞では野生型RPA2発現した細胞より11q23の転座が低下していたことがわかった。また、生化学的な解析法を用いてRPA2の野生型およびリン酸化変異体がRAD51の細胞核内の分布及び11q23転座切断点集中領域への集積を調節することが明らかになった。これらの結果から、ATMによるRPA2のリン酸化が11q23転座の形成抑制に重要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生型及び非リン酸化及びリン酸化模倣変異型のRPA2の安定性発現ATM欠損細胞及び正常細胞株を確立した。これらの細胞株を用いて、免疫染色法およびDual color FISH解析法で、RAD51の細胞核内の分布及び11q23転座切断点集中領域への集積の解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験結果から、ATMによるRPA2のリン酸化がRAD51の細胞核内の分布及び11q23転座切断点集中領域への集積を調節していることがわかった。RAD51が組換え修復において重要な因子であることから、RPA2の野生型およびリン酸化変異体によるRAD51の影響を調べるために組換え修復効率解析法を用いて確認する。また、RPA-RAD51交換反応についてのクロマチン再構成因子INO80の関連を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度は、抗体、siRNA及びsiRNAと発現ベクターを細胞に導入する試薬及びゲノム定量PCRに使用する試薬などを購入する予定である。また、研究成果の国内外の学会で発表するとともに論文を投稿する予定である。さらに、研究の効率化を進めるために研究補助1名雇用することがある。
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