研究課題/領域番号 |
23501266
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
古賀 文隆 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (10285851)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | p63 |
研究概要 |
化学放射線療法を行った浸潤性膀胱癌症例のコホートで、治療前膀胱癌組織の erbB2 および NF kappa B の過剰発現が、化学放射線療法治療抵抗性と有意に関連することを報告した (Koga et al. PLoS one 2011)。erbB2 または NF kappa B の過剰発現を示す症例では約9割が治療抵抗性を示したのに対し、両蛋白の過剰発現を示さない症例では、約9割が化学放射線療法で完全寛解を得た。また、治療前の拡散強調 MRI における腫瘍部の拡散係数が高い腫瘍では、化学放射線療法治療抵抗性が高いことを報告した(Yoshida, Koga et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2012)。拡散係数の閾値を 0.74 に設定すると、治療抵抗性を高い精度(感受性/特異性/正確度いずれも 90% 超)で予測可能であった。ヒト膀胱癌培養細胞から、CD44 陽性細胞を抽出し検討したところ、いわゆる癌幹細胞の要件を満たす細胞集団であることが判明し、これら膀胱癌幹細胞を多く含む細胞集団は、シスプラチン抵抗性が高いことを報告した(Tatokoro, Koga et al. Int J Cancer, in press)。親細胞株および CD44 陰性細胞集団が p63 を強発現するのに対し、CD44 陽性細胞集団では p63 発現の欠失を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫組織学的検討による p63 発現と化学放射線療法治療抵抗性との関連は、現在準備中である。他の抗アポトーシス関連蛋白発現と治療抵抗性との関連の検討は終了しているため、アッセイ系は既に確立している。Preclinical study の方は、現在高い浸潤能・転移形成能を有すヒト膀胱癌細胞株(p63 発現欠失)に p63 遺伝子を永久導入した細胞株の樹立を試みているところである。Permanent transfectant が完成すれば、p63 発現と治療抵抗性との関連や転移能との関連が評価可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
上述の計画に沿って、p63 発現と膀胱癌の化学放射線治療抵抗性および転移能との関連を検討していく予定である。また、膀胱癌幹細胞が p63 発現を欠失している可能性が高いことから、膀胱癌幹細胞集団に p63 を強制発現させることで、癌幹細胞の性質と p63 との関連について検討してきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
免疫組織学的検討および in vitro, in vivo 実験に必要な試料の購入研究成果報告および情報収集のための学術集会出席・参加
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