研究課題
SNP(single nucleotide polymorphism)は疾患への感受性や外的因子への応答に深く関わっている。SNPと外的要因による細胞影響研究の理解にはその実験系の構築が重要であると考えられる。その代表例として申請研究ではp53 SNPに着目した。ヒトp53 にはヒトだけが持つ72 残基SNP も同様にハピローマウイルス(HPV)起因の子宮頸がん発症と関連し、このSNP がp53 標的遺伝子発現誘導能に深く関わっているとされてきた。本申請研究では23年度に相同組換えにより人工的にSNP を導入した細胞を確立し、コドン72のアルギニンを持つ大腸がん由来細胞HCT116細胞ヘテロアリルを持つ細胞及びホモ遺伝子座をもつ細胞に成功した。さらにこれらの細胞のDNA損傷に対する評価を行い、24年度に渡って行ってきた。これら細胞では、SNPの相違によりp53の標的因子の発現誘導に大きな差を示し、特に細胞周期制御に関わるp21の発現に大きな違いを観察することができた。一方p53の調節因子HMD2やその他細胞死に関与する遺伝子群ではSNPの相違による発現誘導の差は認められなかった。これはSNPによる細胞表現の決定的な因子としてp21があることになる。さらに25年度にはHPVに対するp53応答を観察するためにHPV E6を導入したHCT116細胞を樹立し、HPVとp53 コドン72 SNPによる影響を調べるためにE6を恒常的に発現するR72 SNP HCT116細胞とヘテロ遺伝子座でP72 SNPを持つHCT116細胞を取得した。ホモ遺伝子座でP72 SNPを持つHCT116細胞においてはE6を恒常的に発現する細胞の取得は困難で、分裂が進むにつれて生存率が低下し実験系として使用できなかった。しかしヘテロSNPを持つ細胞ではP72 SNPのみが安定で、DNA損傷時のp53機能を保証することができることを明らかにした。これらのことからp53 SNPはHPVに対する防御機構としてP72 SNPが存在していることが大いに考えられた。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
Springer Plus
巻: 3:30 ページ: 1-8
10.1186/2193-1801-3-30
巻: 2:562 ページ: 1-15
10.1186/2193-1801-2-562
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 439:4 ページ: 419-426
10.1016/j.bbrc.2013.08.067
巻: 438:1 ページ: 13-19
10.1016/j.bbrc.2013.07.004
Cell Cycle
巻: 12:6 ページ: 961-971
10.4161/cc.23946