研究課題
母斑基底細胞癌症候群(NBCCS)は常染色体性優性の高発癌性遺伝病であり、骨格を中心とする小奇形を伴うことが多い。好発する腫瘍としては基底細胞癌、髄芽腫が知られるが、顎骨にできる角化嚢胞性歯原性腫瘍(KCOT)と呼ばれる良性腫瘍の発症頻度も高い。責任遺伝子はヘッジホッグ受容体をコードするPTCH1であるが、SUFUの変異も稀ながら報告されている。NBCCSに発症する腫瘍の発症機序を明らかにするため、NBCCS症例に発症した髄芽腫1例、髄膜腫2例、卵巣平滑筋腫1例について血液及び腫瘍組織の遺伝子解析を行なった。末梢血からは髄膜腫の1例からSUFUの、それ以外の症例からはPTCH1の配偶子変異が同定された。腫瘍組織の解析では髄芽腫、髄膜腫、卵巣平滑筋腫のそれぞれ1例においてはPTCH1の配偶子変異に加えて同遺伝子の正常アレルの欠損(すなわちLOH)、あるいは配偶子変異と同一アレルのフレームシフト変異が認められ、これが腫瘍化につながる2nd hitと考えられた。残る髄膜腫の1例からは配偶子変異が同定されたSUFU遺伝子にさらなる変異は見出されなかった。KCOTにおいては明らかな2nd hitは見つからないという平成24年度までの研究結果と、KCOT以外の腫瘍では癌抑制遺伝子と考えられるPTCH1の配偶子変異(1st hit)に加えて生じた2nd hitが腫瘍化に関与することが多いという平成25年度の研究結果から、KCOTと他の腫瘍とは異なる分子機序で生じている可能性が示唆された。
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