研究課題/領域番号 |
23501272
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
堀 利行 立命館大学, 生命科学部, 教授 (70243102)
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研究分担者 |
井上 英樹 立命館大学, 生命科学部, 助教 (20550156)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | がん細胞の特性 / チェックポイント |
研究概要 |
本研究では、線虫C. elegansをモデル動物に用いて、DNA損傷に対するチェックポイント機能において重要な役割を果たす未知の分子を同定しその機能を解析することを目的とする。RASSFの線虫ホモローグT24F1.3と相互作用する分子をyeast two hybrid systemを用いてスクリーニングすることにより、Rab-39、Rab-1、F11E6.7 (Rif1)を同定した。このうち、Rab-39とRab-1については、HEK293T細胞へのトランスフェクション後の共免疫沈降によってT24F1.3との結合を確認した。T24F1.3のRNAiによるノックダウンは線虫の亜ヒ酸に対する感受性を高め、Rab-39またはRab-1のノックダウンでも同様の感受性の増加が認められた。T24F1.3の部分欠損変異型動物(tm5002)のrab-39をノックダウンし、亜ヒ酸に対する感受性の変化を評価した。T24F1.3変異型では、いずれの時間においても、rab-39のノックダウンによる線虫の生存率の低下は確認されなかった。このように、rab-39のノックダウンによる亜ヒ酸に対する感受性の上昇は、T24F1.3存在下でのみ示され、T24F1.3依存的であった。したがって、線虫の酸化ストレス応答経路において、T24F1.3とRAB-39が同一の経路上に存在しているということが示唆された。さらに、共免疫沈降の実験により、哺乳類のRASSF1AととRab-39との相互作用が示され、これらの分子間の相互作用は種を越えて保存されていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNA損傷に対するチェックポイント機能を担う重要な分子としてRASSFとHippo経路のWartを選び、それぞれの線虫ホモローグと相互作用する未知の分子を探索した。これまでにyeast two hybrid systemを用いて複数の候補遺伝子を同定し、そのうちいくつかのものについてはタンパク間の相互作用を確認し、機能的関連性を証明するところまで解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
線虫のRASSFホモローグT24F1.3と相互作用する分子としてRab-1、Rab-39、F11E6.7 (Rif1)を同定した。RabについてはタンパクレベルでのT24F1.3との相互作用および酸化ストレス応答において共通のシグナル伝達経路に位置するこをを示すことができた。この発見に関しては追加実験を行ってできるだけ早く論文にまとめる予定である。F11E6.7 (Rif1)についてはcDNAが非常に長大であるため少し実験が遅れているが、今後これについての解析も並行して進めたいと考えている。また、c-wts-1をbaitとして同定されたNHL-1については、in vitroでWtsとの相互作用、および哺乳類ホモローグ同士の相互作用が確認されており、これからの展開が期待できる。研究費の支出に関しては、予定していた実験備品を少し低額なものに変更したためにその分を次年度に繰り越すことにした。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた必要な実験備品はほぼ揃っているので研究費は主に消耗品費および研究成果発表のために使用する予定である。
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