研究課題/領域番号 |
23501276
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
長山 聡 公益財団法人がん研究会, 有明病院消化器外科, 医長 (70362499)
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研究分担者 |
坂井 義治 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60273455)
戸口田 淳也 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40273502)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 浸潤 |
研究概要 |
1. 大腸癌組織におけるC7059遺伝子の発現状況の検討1999年から2001年に京大病院第一外科で行われた大腸癌切除術症例164例を対象とし、切除標本でのC7059遺伝子の発現状況を免疫組織化学染色法で調べ、リンパ節転移率、全生存期間、無再発生存期間、再発症例における再発後の生存期間やその他の臨床病理学的因子との関連性を検討した。大腸正常粘膜にはC7059蛋白の発現は殆ど認められず、癌細胞に特異的に発現を認めた。さらに、C7059蛋白発現の状況が直腸癌の術後再発高リスク群の選出に有用であることが統計学的解析により明らかとなった。2. C7059遺伝子の機能解析(in vitro実験)C7059遺伝子を発現抑制または強制発現させた安定細胞株を樹立し、細胞増殖、細胞運動、細胞浸潤、腫瘍形成能に、C7059遺伝子がどの程度関与しているかを検討した(Growth assay, Apoptosis assay, Migration assay, Invasion assay, Soft agar colony formation assay)。細胞増殖には関与していないが、細胞運動には密接に関与していることが実証された。3. C7059遺伝子の機能解析(in vivo実験)上記2で樹立した安定細胞株(過剰発現株ならびに発現抑制株)を、ヌードマウスの皮下に移植し、C7059遺伝子の腫瘍形成能への影響を検討した。発現抑制株では腫瘍増殖能が抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書の流れにしたがって、概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1. C7059遺伝子の発現調節機構の解析C7059遺伝子の上流約2.3kbまでの転写調節領域にはデータベース上、転写因子が結合しうるコンセンサス配列が複数存在することが分かっている。この範囲の転写調節領域を対象にルシフェラーゼレポーターアッセイを行い、中核となる転写調節領域の同定と関与する転写因子の推定を行う。さらに、Chromatin immunoprecipitation(ChIP)およびElectrophoresis mobility shift assay (EMSA)にて転写因子の同定を行う。2. C7059遺伝子の機能解析(in vivo実験)C7059高発現大腸癌細胞株あるいは樹立した安定細胞株(過剰発現株ならびに発現抑制株)をマウス脾臓に注入し肝転移モデルを作成する。または、直腸粘膜に移植し自然肺転移モデルを作成する。これらの肝転移モデルあるいは肺転移モデルが作成されれば、C7059遺伝子の発現変化が腫瘍形成能だけではなく、遠隔転移能へも影響を及ぼすかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
in vitro実験に必要な試薬類やin vivo実験に必要なマウス購入代に使用する予定である。
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