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2011 年度 実施状況報告書

癌抑制遺伝子PHLDA3による癌遺伝子Akt抑制機構の解明:抗癌剤開発を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 23501279
研究機関独立行政法人国立がん研究センター

研究代表者

大木 理恵子  独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (70356252)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードAkt / p53 / PHドメイン
研究概要

がん遺伝子Aktは多くのがんにおいて異常に活性化しており、Akt活性化はがん化を強く促進する要因の一つである。Aktは正常細胞ではがん抑制遺伝子p53によって、活性化が抑制されている。ところが、がんのほとんどのものではがん抑制遺伝子p53の機能不全が認められており、がん細胞ではAktが抑制されなくなっている。  我々は、これまで機能未知であったPHLDA3遺伝子が、p53によって誘導される遺伝子である事を見いだし、PHLDA3がp53によるAkt抑制を担う重要な遺伝子である事を初めて明らかにした(Cell, Vol. 136, pp. 535-550, 2009)。PHLDA3遺伝子は、細胞膜に存在するイノシトールリン脂質(PIPs)との結合に働くPHドメインのみから構成されるタンパク質をコードしている。一方、AktもPHドメインを持つタンパク質であり、活性化にはPHドメインを介して細胞膜に局在する事が必須である。PHLDA3は、Aktのいわば内在的に発現するdominant negative体として機能し、AktとPIPsとの結合を直接阻害する。その結果、Aktの細胞膜局在は阻害され、下流の生存シグナルは伝達されない。  これまでにIn silico構造解析によりPHLDA3の構造解析を行い、PHLDA3のモデル構造を決定した。今後、より詳細な構造解析を進め、PHLDA3とPIPsの複合体の構造を決定する。さらには、PHLDA3がAktとPIPsの複合体形成を阻害するメカニズムを解明し、PHLDA3タンパク質をベースとしたAkt標的分子標的抗がん剤の開発に発展させる。  本研究を遂行する事で、生存シグナルの伝達において中心的な役割を担うAktの活性制御メカニズムの解明、加えて将来的に非常に有用な抗がん剤の開発につながる研究成果が得られると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度に予定していた研究は全て行っており、次年度以降に発展させる事で、当初の目的を達成する事が可能である。

今後の研究の推進方策

次年度以降は、研究計画にある計画に従い、確実に研究を進める。

次年度の研究費の使用計画

今後予定される構造解析を含む実験には、平成24年、25年度に配分される研究費では不足する事が予想される。平成23年度の研究費は、共同研究を行う事などにより、当初予定していた額より抑える事ができたため、それを次年度以降の研究に回して、よりいっそうの研究の発展に結びつける。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] Cancer susceptibility polymorphism of p53 at codon 72 affects phosphorylation and degradation of p53 protein2011

    • 著者名/発表者名
      Chikako Ozeki, T. Shibata, T. Kohno, Y. Sawai, K. Okamoto, J. Yokota, F. Tashiro, S. Tanuma, R. Sakai, T. Kawase, I. Kitabayashi, Y. Taya and Rieko Ohki
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 286 ページ: 18251-18260

    • 査読あり
  • [学会発表] PH domain-only protein PHLDA3はAktの新規抑制因子であり内分泌腫瘍のがん抑制遺伝子である2012

    • 著者名/発表者名
      大木理恵子
    • 学会等名
      がん研セミナー(招待講演)
    • 発表場所
      公益財団法人がん研究会
    • 年月日
      2012.2.14
  • [学会発表] PH domain-only protein PHLDA3はAktの新規抑制因子であり内分泌腫瘍のがん抑制遺伝子である2012

    • 著者名/発表者名
      大木理恵子
    • 学会等名
      平成23年度 個体レベルでのがん研究支援活動 ワークショップ(招待講演)
    • 発表場所
      琵琶湖ホテル
    • 年月日
      2012.1.19
  • [学会発表] がん抑制遺伝子PHLDA3と膵内分泌腫瘍2012

    • 著者名/発表者名
      斉藤梢、大木理恵子
    • 学会等名
      平成23年度 個体レベルでのがん研究支援活動 ワークショップ
    • 発表場所
      琵琶湖ホテル
    • 年月日
      2012.1.19
  • [学会発表] Novel p53 target gene p53PAD1 regulates glycosylation and suppresses tumorigenesis2011

    • 著者名/発表者名
      江沢一星、大木理恵子
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011.12.15
  • [学会発表] Development of candidate anticancer drug targeting p53 regulators Mdm2 and Mdmx2011

    • 著者名/発表者名
      松本真悠子、大木理恵子
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011.12.15
  • [学会発表] Novel p53 target gene p53PAD5 is a regulator of HSF12011

    • 著者名/発表者名
      浅野良則、大木理恵子
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011.12.15
  • [学会発表] Unraveling the molecular mechanism of Akt inhibition by PHLDA32011

    • 著者名/発表者名
      斉藤梢、大木理恵子
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011.12.15
  • [学会発表] Generation of anti-p53 scFv by immunization with partial peptide using Rapid Antibody Isolation System (RAntIS)2011

    • 著者名/発表者名
      稲生崇規、大木理恵子
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011.12.13
  • [学会発表] PH domain-only protein PHLDA3; a p53-regulated repressor of Akt and a novel tumor suppressor of endocrine tumors2011

    • 著者名/発表者名
      大木理恵子
    • 学会等名
      平成23年度日仏がんワークショップ(招待講演)
    • 発表場所
      Hotel Mercure, MONTPELLIER, FRANCE
    • 年月日
      2011.11.22
  • [学会発表] PH domain-only protein PHLDA3 is a p53-regulated repressor of Akt2011

    • 著者名/発表者名
      大木理恵子
    • 学会等名
      China-Japan Symposium on Cancer Research(招待講演)
    • 発表場所
      Pattaya Hotel, Shenzhen, China
    • 年月日
      2011. 5. 19
  • [学会発表] PH domain-only protein PHLDA3 is a p53-regulated repressor of Akt2011

    • 著者名/発表者名
      大木理恵子
    • 学会等名
      第70回日本癌学会学術総会、シンポジウム発表(招待講演)
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2011. 10. 3

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公開日: 2013-07-10  

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