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2013 年度 実績報告書

癌抑制遺伝子PHLDA3による癌遺伝子Akt抑制機構の解明:抗癌剤開発を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 23501279
研究機関独立行政法人国立がん研究センター

研究代表者

大木 理恵子  独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (70356252)

キーワードAkt / p53 / PHドメイン
研究概要

がん遺伝子Aktは多くのがんにおいて異常に活性化しており、Akt活性化はがん化を強く促進する要因の一つである。Aktは正常細胞ではがん抑制遺伝子p53によって、活性化が抑制されている。ところが、がんのほとんどのものではがん抑制遺伝子p53の機能不全が認められており、がん細胞ではAktが抑制されなくなっている。
我々は、これまで機能未知であったPHLDA3遺伝子が、p53によって誘導される遺伝子である事を見いだし、PHLDA3がp53によるAkt抑制を担う重要な遺伝子である事を初めて明らかにした(Cell, Vol. 136, pp. 535-550, 2009)。PHLDA3遺伝子は、細胞膜に存在するイノシトールリン脂質(PIPs)との結合に働くPHドメインのみから構成されるタンパク質をコードしている。一方、AktもPHドメインを持つタンパク質であり、活性化にはPHドメインを介して細胞膜に局在する事が必須である。PHLDA3は、Aktのいわば内在的に発現するdominant negative体として機能し、AktとPIPsとの結合を直接阻害する。その結果、Aktの細胞膜局在は阻害され、下流の生存シグナルは伝達されない。
これまでにIn silico構造解析によりPHLDA3の構造解析を行い、PHLDA3のモデル構造を決定した。今後、より詳細な構造解析を進め、PHLDA3とPIPsの複合体の構造を決定する。さらには、PHLDA3がAktとPIPsの複合体形成を阻害するメカニズムを解明し、PHLDA3タンパク質をベースとしたAkt標的分子標的抗がん剤の開発に発展させる。
本研究を遂行する事で、生存シグナルの伝達において中心的な役割を担うAktの活性制御メカニズムの解明、加えて将来的に非常に有用な抗がん剤の開発につながる研究成果が得られると考える。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 新規がん抑制遺伝子PHLDA3によるAkt経路の制御機構と治療への展開 -膵神経内分泌腫瘍の個別化医療開発を目指して-2014

    • 著者名/発表者名
      山口 陽子・斉藤 梢・陳 ヨ ・大木 理恵子
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 7月増刊 ページ: 未定

  • [雑誌論文] PHLDA3 is a novel tumor suppressor of pancreatic neuroendocrine tumors2014

    • 著者名/発表者名
      Rieko Ohki, et. al, Tatsuhiro Shibata and Hitoshi Nakagama.
    • 雑誌名

      PNAS

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of telomere-associated molecules by engineered DNA-binding molecule-mediated chromatin immunoprecipitation (enChIP).2013

    • 著者名/発表者名
      Toshitsugu Fujita, Yoshinori Asano, Junko Ohtsuka, Yoko Takada, Kazunobu Saito, Rieko Ohki, Hodaka Fujii.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 3

    • DOI

      10.1038/srep03171

    • 査読あり
  • [学会発表] PHLDA3遺伝子は神経内分泌腫瘍の新規がん抑制遺伝子である

    • 著者名/発表者名
      大木理恵子
    • 学会等名
      日本遺伝学会第85回大会、ワークショップ発表
    • 発表場所
      慶應義塾大学 日吉キャンパス 第4校舎独立館
    • 招待講演
  • [学会発表] PH domain-only protein PHLDA3; a p53-regulated repressor of Akt and a novel tumor suppressor of endocrine tumors

    • 著者名/発表者名
      大木理恵子
    • 学会等名
      The 6th International p63/p73 Workshop
    • 発表場所
      Kazusa Academia Hall
    • 招待講演
  • [学会発表] Aktの新規抑制因子をコードするPHLDA3遺伝子は内分泌腫瘍のがん抑制遺伝子である

    • 著者名/発表者名
      大木理恵子
    • 学会等名
      第72回日本癌学会学術総会、口頭発表
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
  • [学会発表] 新規p53標的遺伝子p53PAD5はHSF1活性化を介してがん化を促進する

    • 著者名/発表者名
      浅野良則、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] 新規p53標的遺伝子p53PAD1による糖鎖を介した新たながん抑制経路の解明

    • 著者名/発表者名
      江澤一星、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] Akt抑制遺伝子PHLDA3は膵β細胞の増殖を抑制する

    • 著者名/発表者名
      斉藤梢、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] PHLDA3遺伝子とMEN1遺伝子による膵内分泌腫瘍の抑制機構の解明

    • 著者名/発表者名
      チン・ヨ、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] p53 isoform、D 1stTAD-p53の機能解析及び標的遺伝子の同定

    • 著者名/発表者名
      鈴木詩織、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] 新規Akt 抑制因子p53PAD9 の同定と機能解析

    • 著者名/発表者名
      高野悠平、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] 新規テロメア結合タンパク質の同定と機能解析~がん化への作用の解明~

    • 著者名/発表者名
      瀧川遥、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] がん抑制遺伝子PHLDA3による新規Akt抑制メカニズムの解明

    • 著者名/発表者名
      西川雷羅、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] PHLDA3遺伝子は下垂体腫瘍の新規がん抑制遺伝子である

    • 著者名/発表者名
      峯岸舞子、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] 新規p53標的遺伝子p53PAD7の同定と機能解析

    • 著者名/発表者名
      松下周、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場
  • [学会発表] がん抑制遺伝子p53機能喪失を伴った新規悪性胃がんモデルマウスの作製と解析

    • 著者名/発表者名
      大塚旬子、大木理恵子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会、ポスター発表
    • 発表場所
      神戸国際展示場

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公開日: 2015-05-28  

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