研究概要 |
平成23年度はcancer tissue-originated spheroid (CTOS)におけるmycの発現解析を行った。CTOSと癌細胞株との遺伝子発現を比較した。ヒト大腸癌のCTOSと2次元培養したがん細胞株との遺伝子発現をmicroarrayで比較検討した。解糖系酵素発現に差が見られた。低酸素培養下でのCTOSにおけるHIFとMYCの発現を検討した。CTOSを低酸素下で培養すると、HIFの発現が見られるものの、MYCの発現は無くなった。 平成24年度は低酸素・低栄養下でのmyc低下のメカニズムについて検討した。HIF-1,2の関与を検討した。HCT116細胞株を用いてHIF-1とHIF-2のノックダウン細胞株を樹立しmycの発現の変化を検討した。HIF-1,2いずれもMycの発現に影響を及ぼさなかった。Endoplasmic stressの関与を検討した。ER stressのmarkerとして、CHOPとeIF-2が知られているが、CHOPもeIF-2もともに低酸素・低グルコース環境下で著明に上昇していた。 平成25年度は低酸素・低グルコース環境下でのmyc分解の機序をさらに追求した。Fbw7はMB1のスレオニン58とセリン62が関与する。スレオニン58とセリン62のmutantは低酸素・低グルコース下で分解された。skp2はMB2に結合しmyc分化に関与する。MB2 deletion mutant, C-terminal deletion mutant, MB2+C-terminal deletion mutant, N-terminal deletion mutantを作成したが、いずれも低酸素・低グルコース下で分解された。以上の結果から、myc特異的な分解の機序よりもER stressなどによる分解の可能性が示唆されている。
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