研究課題
抗腫瘍免疫応答を減弱させるCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞(Tregs)の機能を抑制することにより、効果的に癌治療が行える可能性が考えられる。今研究において、申請者らが独自に作製したJak3阻害剤を使用したinduced Tregs(iTreg)細胞培養システム (野生型マウスより単離した末梢未感作CD4+CD25-T細胞を用いJak3阻害剤存在下で3日間培養を行うことにより、Foxp3陰性のiTreg前駆細胞に分化させ、その後IL-2を添加した培地にて培養を続けることによりFoxp3陽性iTreg細胞に分化増殖させる培養法)を用い、どのようなサイトカイン等の因子がこの培養系に影響を与えるか検討を行った。サイトカイン及び中和抗体の投与により、Jak3阻害剤の標的が主にIL-2のシグナリングであることを見出した。さらに、Foxp3陰性iTreg前駆細胞からFoxp3陽性iTreg細胞への分化段階においては、この分化段階をIL-2が強く促進しIL-4が強く阻害する現象を明らかにした。IL-2のシグナリングには多様な作用がある現象を見出したことと併せて、IL-4シグナリングの下流に位置するSTAT6ノックアウトマウスを用いた検討において、野生型と比較しより頻度が高くiTreg細胞に分化しやすくなる現象を確認している。一方、Jak3阻害剤を使用する代替として、anti-TCRb抗体(H57-597)の使用がIn vitro及びIn vivoにおいて6日後に有意にFoxP3陽性細胞の頻度を高めることを見出し、同抗体のマウスIn vivoへの投与がallograftの生着を延長することを見出した。これらの結果は、将来的に腫瘍局所でのiTregの機能を抑制し効果的な癌治療を開発する基盤となると考えられる。
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PLoS One
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