研究課題/領域番号 |
23501286
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
神田 善伸 自治医科大学, 医学部, 教授 (30334379)
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研究分担者 |
山崎 理絵 自治医科大学, 医学部, 助教 (80365262)
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キーワード | 細胞傷害性T細胞 / レパトア / 成人T細胞性白血病 / HTLV-I / 造血幹細胞移植 |
研究概要 |
本研究の目的はsingle cellでのTax抗原特異的CTLのT細胞受容体(TCR)のレパトア解析を多数症例で行なうことによって、実際に臨床での抗腫瘍効果に最も寄与しているCTLのレパトアを同定し、さらにそのTCRの全長をクローニングしてレトロウィルスベクターに組み換えて内因性TCRを失活させたドナーT細胞にTCR全長の遺伝子を導入することによってTax特異的CTLを大量に産生する系を構築することである。 HTLV-I感染患者の多数症例のサンプルを入手するために前方視的研究のプロトコールを作成し、倫理委員会の承認を得て、東京大学医科学研究所との共同研究を開始した。また、以前に解析を行った4症例のうち、1症例について時系列の解析を行い、さらにTax特異的CTLの細胞表面マーカーを調査することによってCTLの特徴を詳細に解析した。移植後のTax特異的CTLは主に CD45RA-CCR7- effector memory CTLとして存在することが判明した。そしてsingle cellでのレパトア解析の結果、2クローンのTax特異的CTLが移植後3年以上長期にわたって存在し続けることが示された。さらにこれらのCTLは他の患者のHTLV-I感染細胞に対する細胞傷害性を示すことが判明し、細胞療法に用いることができる可能性が高まった。そこで、このCTLのT細胞受容体の全長をクローニングし、非特異的CTLに遺伝子導入することによってTax特異的CTLを大量に産生する系の構築を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
残念ながら東京大学医科学研究所との共同研究についてはまだ十分なサンプルが集まらず、多数症例の解析を行うことはできなかった。しかし、同一症例の経時的な変化を詳細に解析すること、および患者間をまたいだ細胞傷害性の評価を行うことによって、今後の細胞療法開発のための新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は多数例のATL症例におけるTax抗原特異的CTLの解析を継続する。また、Tax特異的CTLのT細胞受容体全長のクローニングを完了し、実際に非特異的CTLに遺伝子導入することによってTax特異的な細胞傷害活性が再現されるかどうかを確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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