研究課題/領域番号 |
23501288
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
宇都口 直樹 帝京大学, 薬学部, 教授 (80276633)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 擬似血管 |
研究概要 |
本年度は(1)がん移植GFPマウスからの擬似血管単離、(2)擬似血管を抗原としてパルスした樹状細胞ワクチンによる腫瘍増殖抑制効果を研究目標とした。 しかしながら、東日本大震災で動物飼育施設の機能の大半が一定期間停止したため、GFPマウスでの検討が不可能であった。そこで、通常のマウスを用い検討を行った。マウス黒色腫B16細胞を移植し、形成した腫瘍組織よりセルソーターを用いて血管内皮細胞マーカー、B16マーカーを指標に検討を行った。 結果、全細胞数の約0.2%の擬似血管であろう細胞集団を得ることに成功した。 次に、単離した擬似血管を抗原としてパルスした樹状細胞(Dendritic cell: DC)を用いて、ワクチン投与による抗腫瘍効果を検討する予定であったが、細胞収量が低いため、計画を変更し、その基礎検討として、in vitro培養系で、擬似血管を作製し、これを抗原とした抗腫瘍効果を検討することとした。抗原の調製まで行ったが、大学のキャンパス移転もあり、動物実験の継続が不可能であり、ここまでの検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
東日本大震災による施設の被害(主に動物室)大学キャンパスの移転(相模湖から板橋)準備のため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本年度の遅れを取り戻し、さらに以下の検討を行う。(1)ファージディスプレイ法を駆使した擬似血管特異的免疫抗体ライブラリの構築本検討では、擬似血管特異的な分子標的治療薬を開発するにあたって、抗擬似血管抗体の創製を試みる。従来のハイブリドーマ法と比較して、画期的な抗体作製法であるファージディスプレイ法を用いて、単離した擬似血管に含まれると予想される腫瘍関連蛋白質に対する免疫抗体ライブラリを構築する。具体的には、まずマウスに対して単離した擬似血管を抗原として抗体価が上昇するまで免疫する。次に免疫マウスから脾臓を摘出しcDNAを回収後、PCR法を用いて抗体のVL、VH領域を連結した1本鎖抗体ライブラリを創製する。(2)パンニングによる抗擬似血管特異的抗体の選別本検討では、先に作製した免疫抗体ライブラリを用いて、擬似血管の細胞表面上に存在する擬似血管特異的な抗原蛋白質を認識する抗体の創出を目指す。具体的には作製した抗体ライブラリを用いて擬似血管に発現する分子との結合親和性を利用したセルパンニング操作を行う前に、がん細胞、血管内皮細胞と結合させて非特異的に結合するファージを除くサブトラクションセルパンニングを行うことで、擬似血管特異的抗体の選別を図る。さらに、マウス腫瘍組織切片における擬似血管への特異的結合、in vivoにおける本抗体の腫瘍組織集積性を評価し、特異性が高くかつ、腫瘍組織への集積性が高い抗体を選別する。さらにヒトへの臨床応用の基礎検討として、ヒト病理組織切片での結合性を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
残額(繰越)76万円が生じた理由は、東日本大震災により動物室が使用不能となり、動物実験が行えず、また大学の移転もあり、年度末まで計画していた実験が行えなかったためである。繰越と24年度分110万円の合計186万円の使途は以下のとおりである。物品費176万円、旅費10万円である。大学移転にともない、多くの新規機器を大学予算で購入するため、新規購入の機器は予定していない。新キャンパスにおいては、動物室も稼働予定であり、計画通りの実験が行えるため、H23年度に行えなかった遅れた部分を優先し、H24年度は行う予定である。また国内の学会にて、その成果発表を行うことを計画し、10万円の予算を計上する。
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