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2012 年度 実施状況報告書

マルチペプチド混合がんワクチンの開発基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 23501292
研究機関久留米大学

研究代表者

山田 亮  久留米大学, 先端癌治療研究センター, 教授 (50158177)

キーワードがんワクチン / ペプチド / 混合ワクチン / CTL / 抗体
研究概要

個々の患者の免疫記憶に対応したペプチドを用いるテーラーメイドペプチドワクチン療法では、個々の患者の多様性に対応するために多くの種類のワクチン候補ペプチドを事前に用意しなければならず、また、HLA検査や免疫検査などの特殊検査が必要であり、一般医療へ移行するには多くの問題がある。そこで、本研究ではテーラーメイドワクチンと同等以上の臨床効果を有し、かつ事前の特殊検査を必要としない非テーラーメイド型のマルチペプチド混合ワクチンの開発を行う。
本年度は以下の研究を実施した。
1.混合ワクチンの製剤学的検討:前年度までの研究で絞り込んだペプチド20種(KRM-20)の各成分ペプチドについてHPLCでの定量系を確立し、それらを用いて安定性の検討を行った。その結果、-20℃冷凍保存下で12か月間安定であることが示された。
2.ラットを用いた毒性・安全性の検討:KRM-20の毒性について、ラットを用いて検討した。ラットに4週間並びに26週間、ヒトで投与予定の100倍量のKRM-20を反復投与した実験結果についてのレビューを行った。その結果、注射部位の軽度の炎症以外には毒性所見は認められなかった。以上より、ヒトでの臨床試験を開始することの妥当性が担保された。
3.臨床試験による安全性の検討:KRM-20については去勢抵抗性前立腺がん患者17例を対象とした第I相試験を医師主導治験として実施した。その結果、各ペプチドあたり0.3㎎~3㎎のいずれの用量においても重篤な有害事象は認められず安全性が確認され、免疫学的最少有効量1㎎が決定された。また、KRM-10に関しては進行消化管がん患者18例を対象に第I相試験(臨床研究)を実施中であり、現時点までに重篤な有害事象は認められていない。以上の結果より、早期第2相試験を1㎎で実施することが推奨された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定では24年度以降は以下の研究を実施することとなっている。1)マウスモデルによる混合ワクチンの免疫学的解析。2)マウスモデルによる混合ワクチンの抗腫瘍効果の検討。3)マルチペプチド混合ワクチン臨床試験参加者の免疫学的解析。4)予後因子としての各種遺伝子発現の探索。
当初予定立案時には臨床試験の具体的な実施計画はなかったために、1)2)の動物での作用機序の解析を先行して行い、その後、臨床試験の実施準備に入る予定であった。しかしながら、24年度に第I相臨床試験が医師主導治験として開始予定となったために、動物による毒性試験を実施し、この試験結果をもって臨床試験に入ることができた。第I相臨床試験は25年度に終了し、ヒトでの安全性と免疫学的最少有効量も決定された。さらに25年度からは早期第2相臨床試験も開始が決定したことより、当初の予定以上にプロジェクト全体は前進したと判断され、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。

今後の研究の推進方策

当初の予定では、24年度以降、以下の研究課題についても実施することとなっている。1)マウスモデルによる混合ワクチンの免疫学的解析。2)マウスモデルによる混合ワクチンの抗腫瘍効果の検討。3)マルチペプチド混合ワクチン臨床試験参加者の免疫学的解析。4)予後因子としての各種遺伝子発現の探索。
24年度にマルチペプチド混合ワクチンを用いた第I相臨床試験が医師主導治験として実施、さらには25年度には早期第2相試験が開始予定となった。そこで、1)および2)のマウスモデルによる作用機序の解析は優先順位を下げ、25年度は特に、3)マルチペプチド混合ワクチン臨床試験参加者の免疫学的解析、および4)予後因子としての各種遺伝子発現の探索、について重点的に研究を進めることとする。

次年度の研究費の使用計画

当初申請書に示された予算のとおりであり、変更はない。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] がんペプチドワクチンの開発 ~アカデミアからの挑戦2013

    • 著者名/発表者名
      山田亮、伊東恭悟
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: Vol.31 No.1 ページ: 105-110

  • [雑誌論文] Next generation peptide vaccines for advanced cancer.2013

    • 著者名/発表者名
      Yamada A, Sasada T, Noguchi M, Itoh K.
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 104(1) ページ: 15-21

    • DOI

      doi: 10.1111/cas.12050. [Epub ahead of print]

    • 査読あり
  • [雑誌論文] テーラーメイドがんペプチドワクチン療法2012

    • 著者名/発表者名
      山田亮
    • 雑誌名

      G.I.Research

      巻: vol.20 no.2 ページ: 10-15

  • [雑誌論文] Personalized peptide vaccination in patients with refractory non-small cell lung cancer.2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyama K, Terazaki Y, Satoko Matsueda S, Shichijo S, Noguchi M, Yamada A, Mine T, Ioji T, Itoh K, Shirouzu K, Sasada T and Takamori S.
    • 雑誌名

      Int J Oncol

      巻: 40 ページ: 1492-1500

    • DOI

      doi: 10.3892/ijo.2012.1351. Epub 2012 Feb 1.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Personalized peptide vaccination for advanced biliary tract cancer: IL-6, nutritional status, and pre-existing antigen-specific immunity as possible biomarkers for patient prognosis.2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshitomi M, Yutani S, Matsueda S, Ioji T, Komatsu N, Shichijo S, Yamada A, Itoh K, Sasada T, Kinoshita H.
    • 雑誌名

      Exp Ther Med

      巻: 3 ページ: 463-469

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Immunological evaluation of personalized peptide vaccination in refractory small cell lung cancer.2012

    • 著者名/発表者名
      Terazaki Y, Yoshiyama K, Matsueda S, Watanabe N, Yamada A, Mine T, Terasaki M, Itoh K, Takamori S, Sasada T.
    • 雑誌名

      Cancer Sci

      巻: 103(4) ページ: 638-644

    • DOI

      doi: 10.1111/j.1349-7006.2012.02202.x. Epub 2012 Feb 13.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Phase II study of personalized peptide vaccination for castration-resistant prostate cancer patients who failed in docetaxel-based chemotherapy.2012

    • 著者名/発表者名
      Noguchi M, Moriya F, Suekane S, Matsuoka K, Arai G, Matsueda S, Sasada T, Yamada A, Itoh K
    • 雑誌名

      Prostate

      巻: 72(8) ページ: 834-845

    • DOI

      doi: 10.1002/pros.21485. Epub 2011 Sep 19.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gene expression profiles in peripheral blood as a biomarker in cancer patients receiving peptide vaccination.2012

    • 著者名/発表者名
      Komatsu N, Matsueda S, Tashiro K, Ioji T, Shichijo S, Noguchi M, Yamada A, Doi A, Suekane S, Moriya F, Matsuoka K, Kuhara S, Itoh K, Sasada T.
    • 雑誌名

      Cancer

      巻: 118(12) ページ: 3208-3221

    • DOI

      doi: 10.1002/cncr.26636. Epub 2011 Nov 9.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Personalized peptide vaccination: a novel immunotherapeutic approach for advanced cancer.2012

    • 著者名/発表者名
      Sasada T, Noguchi M, Yamada A, Itoh K.
    • 雑誌名

      Hum Vaccin Immunother

      巻: 8(9) ページ: 1309-1313

    • DOI

      doi: 10.4161/hv.20988. Epub 2012 Aug 16.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In vitro induction of specific CD8+ T lymphocytes by tumor-associated antigenic peptides in patients with oral squamous cell carcinoma.2012

    • 著者名/発表者名
      Toyoshima T, Kumamaru W, Hayashida J, Moriyama M, Kitamura R,Tanaka H, Yamada A, Itoh K, Nakamura S.
    • 雑誌名

      Cancer Lett

      巻: 322(1) ページ: 86-91

    • DOI

      doi: 10.1016/j.canlet.2012.02.016. Epub 2012 Feb 22.

    • 査読あり
  • [学会発表] テーラーメイドがんペプチドワクチンの現状

    • 著者名/発表者名
      山田亮、伊東恭悟
    • 学会等名
      第16回日本がん免疫学会総会
    • 発表場所
      札幌市
  • [学会発表] 化学療法抵抗性進行膵がん患者に対するセカンドラインとしてのテーラーメイドペプチドワクチン療法

    • 著者名/発表者名
      山田亮、由谷茂、松枝智子、小松誠和、峯孝志、笹田哲朗、伊東恭悟
    • 学会等名
      第71回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      札幌市
  • [学会発表] テーラーメイドがんペプチドワクチン進行がんに対する新規免疫療法

    • 著者名/発表者名
      笹田哲朗、野口正典、山田亮、小松誠和、松枝智子、伊東恭悟
    • 学会等名
      第71回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      札幌市
  • [備考] 久留米大学先端癌治療研究センター

    • URL

      http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/sentanca/index.html

  • [産業財産権] がんの検査用試薬及び検査方法2012

    • 発明者名
      伊東恭悟、野口正典、山田亮、他4名
    • 権利者名
      伊東恭悟、野口正典、山田亮、他4名
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2012/065993
    • 出願年月日
      2012-06-22
    • 外国

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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