研究課題
テーラーメイドペプチドワクチン療法では、個々の患者の多様性に対応するために多種類のワクチン候補ペプチドを事前に用意し、かつHLA検査や免疫検査などの特殊検査が必要であり、一般医療へ移行するには多くの課題がある。本研究ではテーラーメイドワクチンと同等以上の臨床効果を有し、かつ事前の特殊検査を必要としない非テーラーメイド型のマルチペプチド混合ワクチンの開発研究を行った。1.ワクチン候補ペプチドパネルに対する免疫反応の網羅的解析およびワクチンペプチドの決定:がん患者の血液検体を用い、ペプチドパネルに対する血中IgG抗体およびCTL反応性を検討した。その結果、前立腺がん患者の血中IgGと高頻度に反応し、かつCTL誘導能の高いペプチド20種(KRM-20)、および消化管がんについては10種(KRM-10)を決定した。2.混合ワクチンの製剤学的検討:ペプチド混合溶液を2種を作製し、ISA51と用事混合、エマルジョン製剤とすることとした。ペプチド混合溶液は-20℃冷凍保存下で24か月間安定であった。3.非臨床および臨床試験による安全性の検討(別予算で実施):ラット反復投与毒性試験で安全性を確認したのちに、KRM-20については去勢抵抗性前立腺がん患者17例を、KRM-10に関しては進行消化管がん患者18例を対象に第I相試験を実施し、ヒトに対する安全性が確認された。4.混合ワクチンの免疫学的解析:ワクチン投与患者末梢血中のワクチンペプチドに対するIgG及びCTL反応増強はワクチン投与4週後から認められ、至適用量は各ペプチドあたり1㎎であった。3 mg投与では制御性T細胞の誘導が認められた。5.予後因子としての各種遺伝子発現の探索:ペプチドワクチン投与患者の末梢血T細胞上の免疫チェックポイント分子の発現と予後との関連を調べた。その結果、非小細胞肺癌患者において、PD-1陽性T細胞の増加が予後と相関することが明らかとなった。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (8件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine
巻: in press ページ: -
Immunopharmacol Immunotoxicol
Curr Med Chem
巻: Epub ahead of print ページ: -
BMC Cancer
巻: 13 ページ: 613
doi: 10.1186/1471-2407-13-613
Evid Based Complement Alternat Med.
巻: 2013 ページ: 981717
doi: 10.1155/2013/981717. Epub 2013 Jun 10.
Dev Comp Immunol.
巻: 41(1) ページ: 68-76
doi: 10.1016/j.dci.2013.04.004. Epub 2013 Apr 11.
Oncol Rep.
巻: 30(3) ページ: 1094-100
doi: 10.3892/or.2013.2556. Epub 2013 Jun 20.
J Vaccines Vaccin.
巻: 4 ページ: 171
Hum Vaccin Immunother.
巻: 9(5) ページ: 1069-72
doi: 10.4161/hv.23844. Epub 2013 Feb 1.
http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/sentanca/index.html