研究概要 |
組織バンクに登録されている組織検体、血清の2002年4月から2009年3月までの肝細胞癌初回肝切除例308例について臨床病理学的因子、再発時期、再発形式、予後の整理を行った。年齢の中央値は63歳で、男女比は約5:1でした。HBV陽性であった患者の割合は98名で40.3%、HCV陽性であった患者の割合は100名で41.2%であった。全生存は1年生存率94.6%、3年で82.5%、5年で70.5%で無病生存率は1年で72.5%、3年で41.6%、5年で34.6%であった。全生存における背景因子を検討したところ、単変量解析ではAFP, AFP L3分画, PIVKA-II,腫瘍径、門脈浸潤の有無、肝内転移の有無、背景肝、腫瘍個数などが有意差を認めた。さらにそれらの因子を多変量解析したところ、AFP, AFP L3分画、腫瘍径、門脈浸潤の有無、肝内転移の有無、背景肝に有意差を認めた。一方で、無病生存にかかわる因子としては、単変量解析ではAFP, PIVKA-II, 門脈浸潤の有無、肝内転移の有無、腫瘍個数に有意差を認めた。さらに多変量解析で検討したところ、門脈浸潤の有無と腫瘍個数に有意差を認めた。これらの情報とリンクさせ本シリーズの未染のプレパラートおよび凍結検体を用い、抗E-FABP抗体を用いた免疫組織化学染色、western blotを行い組織での発現を観察し、臨床病理学的因子との関連性を検討する予定である。免疫組織化学染色ではABC法を用い、脱パラフィン後、0.3%過酸化水素水で内因性ペルオキシダーゼの活性を阻止し、洗浄一次抗体反応、洗浄ビオチン化二次抗体反応を行う計画である。ポジティブコントロールとして膵癌組織で細胞に染まる報告があるため常に膵癌組織検体を同時に染めることとした。
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