研究課題/領域番号 |
23501297
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
渡邉 浩一郎 大分大学, 医学部, 助教 (00468000)
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研究分担者 |
白尾 國昭 大分大学, 医学部, 教授 (10467996)
波多野 豊 大分大学, 医学部, 講師 (80336263)
大津 智 大分大学, 医学部, 助教 (80437920)
森永 亮太郎 大分大学, 医学部, 助教 (50411640)
平島 詳典 大分大学, 医学部, 助教 (60418837)
西川 和男 大分大学, 医学部, 医員 (70636399)
久松 靖史 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (00609670)
河野 桜 大分大学, 医学部, その他 (40548137)
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キーワード | がん / 癌 / EGFR阻害薬 / ざ瘡様皮疹 / 制御性T細胞 / FOXP3 / CTLA-4 |
研究概要 |
本研究は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)-4を高率に発現する制御性T細胞(Regulatory T Cell: Treg)が抗腫瘍性免疫を減弱させることに着眼し、TregがEGFR阻害薬の耐性獲得に及ぼす影響について検討することを目的としている。 大分大学附属病院にて2004年12月から2007年5月までの胃癌手術症例29例を対象に、レトロスペクティブに再発までの期間、病期、属性等の臨床背景を調査した。症例ごとにMizukamiらの報告(Br J Cancer 2008)に準じてTregの特異的マーカーであるFoxp3の免疫組織染色を行い、Foxp3陽性細胞数およびその分布を評価した。Foxp3陽性細胞数は、中央値(48.2/1視野)を基準にHi, Loの2群に分けた。Lo群でRelapse free survival (RFS)が短い傾向が示唆されるも統計学的有意差は認めなかった。Diffuse type(全体に均一にFoxp3陽性細胞が存在する)、Peri-tumor type(がんと正常組織の境界に多く存在する)、Follicular type(リンパ濾胞に多く存在する)により、臨床経過に差異があることが分かった。Follicular patternで、有意にRFSが短縮を認めた(p<0.05)。 2012年9月4日大分大学病院病院IRBへ「上皮成長因子受容体阻害薬の耐性獲得に対して制御性T細胞が及ぼす影響に関する研究」として申請し承認を得た。2012年10月1日UMINへ「上皮成長因子受容体阻害薬の耐性獲得に対して制御性T細胞が及ぼす影響」(受付番号:R000010551)として登録を行った。現在までに6名が登録され、2名が規定観察期間を終了している。さらなる症例追加のため患者登録中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
臨床試験として院内のIRBでの承認、UMINへの登録を済ませた。その後の症例の集積が計画よりも大幅に遅れている。その原因としては、院内での新規肺癌患者数の減少が一因であると考えられる。肺癌患者の約半数は、当研究の対象となることが予想されるが、院内での呼吸器外科医不在の期間が平成24年度に生じ、肺癌患者の受け入れを縮小せざるを得ない状況がしばらくの間続いた。この間の患者登録は極めて困難な状況となった。2013年3月には、新任の呼吸器外科教授のもと安定した診療体制を築くことができ、今後の症例リクルートを促進するように関係各位にさらなる働きかけを行っている。 皮膚及び血液検体の免疫組織学的検索の解析から、研究開始時の予想通り制御性T細胞マーカーであるFOXP3陽性細胞の真皮への浸潤が経時的に増加していることを確認した。また、mRNAレベルでも個人差はあるものの制御性T細胞マーカーであるFOXP3およびCTLA-4の治療経過に伴う上昇を確認した。しかしながら、IL-10、IL-23、TGF-βは個体差が大きく、検体数も少ないため明らかな傾向を指摘することはできていない。今後、症例数を十分に確保する必要があると考える。IL-17については、測定不能であり、プローブ、プライマーの組み合わせを再度検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
症例リクルートを当院だけでなく連携病院へ働きかけを行なっていく必要がある。書面による依頼を郵送し、直接連携病院へ出向き、研究目的とこれまでの結果を説明した上で症例を当院へご紹介いただくようお願いする。また、登録された症例の速やかな解析を行うようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
呼吸器外科医不在の期間が平成24年度に生じ、肺癌患者の受け入れを縮小せざるを得ない状況がしばらくの間続いた。肺癌患者の約半数は、当研究の対象となることが予想され、この間の患者登録は極めて困難な状況となった。そのため計画の延期を余儀なくされた。 また、全身状態の悪化より試験自体が適当ではないと考えられるケースがいくつか続いた。 次年度の研究費の使用計画:登録症例に対する免疫学的検討、遺伝子学的検討のための検査費用に当てる。また、予定していて十分な検査結果が出ていない項目(IL-17)に関しては、再度プローブ、プライマーの組み合わせを検討する。
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