研究課題/領域番号 |
23501298
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
榎田 英樹 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80347103)
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研究分担者 |
川上 一盛 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00404517)
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キーワード | microRNA / 膀胱癌 / 診断マーカー |
研究概要 |
microRNA(miRNA) の発現解析による膀胱癌の進展に関与している遺伝子を同定し、さらに新たな膀胱癌の診断マーカーの開発を行う。まず膀胱癌の進展に関与する遺伝子を同定するため膀胱癌で有意に発現変動しているmiRNAのプロファイルを構築した。次に膀胱癌患者(n=100)、健常者(n=49)および尿路感染患者(n=25)の尿でstem-loop PCR法にて膀胱癌で有意に上昇しているmiR-96およびmiR-183の定量を行った。膀胱癌患者の尿においてmiR-96、miR-183の感度は各71.0%、74.0%、特異度は各89.2%、77.3%で癌患者と非癌患者の識別が可能であった。またmiR-96、miR-183の発現は浸潤癌(≥pT1)では非浸潤癌(pTa)と比べて有意に高く(p=0.0057,p=0.0036)、Gradeが上昇するにつれて有意に上昇した(p=0.0322,p=0.0117)。従来の尿細胞診と併用すると感度75%、特異度92%で膀胱癌の診断が可能であった。また、内視鏡下膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)術後にmiR-96,miR-183の発現は有意に低下し(p=0.0241,p=0.0045)、特にmiR-183の陽性者は再発率が高かった(p=0.0441)。尿中miR-96とmiR-183は膀胱癌の有効な腫瘍マーカーとなり得ることが示唆された。 さらに、同じプロファイルから癌抑制microRNAの研究に着手している。miR-574-3pが膀胱癌細胞において腫瘍増殖抑制効果があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 尿路上皮癌のmicroRNA発現プロファイルに基づく、miR-96とmiR-183による尿路上皮癌検出のスタディをほぼ終了している。両者が癌の診断のみならず、ステージやグレードと相関しているというクリニカルデータに基づいた成果を出している。また予後との関連を示唆できるデータもあり、将来の実用化に向けて有望であると思われる。尿中microRNA検出は新たな候補も同定されて、現在解析が進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 現在、次世代シークエンサーによるmicroRNAプロファイルを解析中であり、新たな尿路上皮癌の腫瘍マーカーとなるmicroRNAの解析を予定している。まず、有望な5つのmicroRNAを選択し組織や尿におけるPCRを行い有望なものをさらに選択して、臨床パラメータとの相関があるかどうかを検索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
(次年度の研究費の使用計画) 主にPCRプライマー・プローベやPCR消耗品である。研究計画の変更はない。
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