研究概要 |
同一胃癌患者の術前・術後ならびに再発時の血液セットを準備し、同3名分の血漿を混合した各サンプルからのmicroRNA(miRNA)の抽出を行い、miRNA microarray解析を行った。 microarray解析結果から、術前高値、術後顕著に低下、再発時に再上昇する10個のmiRNAを今回の検索候補として選定した。通常のRT-PCRによるValidation assayを行い、3症例ともに腫瘍動態と合致する値(術前高値、術後低下、再発時に再上昇)を示したmiRNA-X, Y, Zを血漿モニタリング・バイオマーカーの候補としてさらなる解析を行なった。 組織における発現解析では、miRNA-Zの発現が、周囲健常組織に比較して胃癌組織で高い傾向を示したが、miRNA-X,Yについては両者間に有意な差を認めなかった。また、当施設の血液バンクを用いた再発症例15例の解析では、リンパ節転移再発例においてmiRNA-Z値の異常高値を認めたが、腹膜播種再発例や血行性再発例では再上昇を認めなかった。 また、前年度行った術前・術後のmicroarray解析から選出したmiRNA-451,486については、進行胃癌術後症例のフォローアップ期間中の測定を行い、その臨床的再発の有無との相関を現在解析中であり、次年度も引き続き解析を行い、その再発モニタリング・バイオマーカーとしての意義について検討する予定であり、個々の症例に行ったmicroarray解析結果から選定されたバイオマーカーについては、今後術後フォローアップ中の解析を進める予定である。
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