研究課題
我々は、大腸癌先進部の組織所見に注目、形態学的にも分子生物学的にも腫瘍中央部とは性格を異にし、悪性度規定因子として重要であると報告してきた。また、組織採取部位を明確にした組織マイクロアレイ(TMA)作成法(area-specific TMA)を考案、大腸癌先進部の特殊性を解析するに適したツールとして報告した。area-specific TMAとは、4部位(粘膜下層内先進部、漿膜下層内先進部、腫瘍中央部、周堤部) から採取した円柱状組織からTMAブロックを作成するもので、先進部における発現を客観的に評価することが可能となる。以上これまでの研究成果をもとに、今回、癌先進部の特徴や臨床的意義を明らかにすることを目的とし、area-specific TMAを活用して広くタンパク発現を検討する研究を立案した。部位によって異なった発現率や臨床的意義を示す分子を検索することで、先進部における発現が悪性度規定因子として重要である分子の同定へとつながると期待される。1997年から2005年までに切除を行ったstageII大腸癌患者で、3年以上の経過が観察できた300症例を対象に選定、先進部の形態学的悪性度の指標となる簇出およびcytoplasmic podiaの評価を実施した。また、area-specific TMAの作成およびその薄切を実施、浸潤に関するマーカー、Stem cellマーカー、粘液形質のマーカーなどのタンパク発現の検討を行い、予後因子としての意義について検討した。大腸癌幹細胞マーカーであるCD133は部位によりその発現の意義が異なり、浸潤先進部における発現が予後因子として重要であることを報告した。またラミニン5の構成成分であるラミニンβ3や中皮のマーカーであるメソテリンについても先進部における発現の予後因子としての意義を明らかにした。
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