研究課題/領域番号 |
23501304
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
成田 美和子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30281009)
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研究分担者 |
梨本 正之 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 教授 (30228069)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | sgRNA / 白血病 / WT1 |
研究概要 |
tRNaseZLはpre-tRNAの3’末端に存在する成熟tRNAに見られない身長配列を切断する酵素である。梨本らは、標的RNAに相補的な塩基配列をもつRNA(small guide RNA:sgRNA)を用いてpre-tRNAに類似した複合体を形成させtRNaseZLが標的mRNAを切断する方法を開発した。そこで、我々は、sgRNAとtRNaseZLを用いた本法が白血病における遺伝子発現の抑制に効果的であるかを検討した。始めに、WT1、PRAME、h-TERT、HMMRおよびHAGE を標的遺伝子として選択し、それぞれに対して複数のheptamer RNA構造のsgRNAをデザインして白血病細胞株培養系に添加し、増殖抑制効果およびapoptosisの誘導効果の有無を検討した。その結果、WT1sgRNAがWT1高発現細胞株K562に対して明らかに細胞増殖抑制およびapoptosis誘導効果を有することを確認した。続いて、WT1mRNAの定量解析とWT1タンパクの発現の抑制効果を検討した結果、両者ともsgRNA添加培養系において有意に抑制されることを確認した。なお、WT1mRNAに対するsgRNAとしては、結合部位の異なる四種類のsgRNAがデザインできたが、このうちの3種類のsgRNAにおいて上記の効果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新鮮白血病細胞に対する効果の確認、および、複数の腫瘍関連遺伝子に対する効果の確認 が不十分であるが、当初の計画で予測した基本的な事項に関する結果は得られていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度当初に計画した 1)各種腫瘍関連遺伝子に対する効果的なsgRNAのデザインと安定化のためのRNA修飾,2)sgRNAによる各種腫瘍細胞の細胞増殖抑制およびアポトーシス誘導についての検討 について、新鮮白血病細胞やさらに複数の遺伝子を標的として検討を進める。さらに、sgRNAによる標的mRNA切断部位の確認、および、sgRNAライブラリーを固相化した細胞培養プレートによるsgRNA感受性試験 などを行う、
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次年度の研究費の使用計画 |
sgRNA作製、細胞培養/定量PCR/タンパク発現確認/細胞増殖能確認/RACE 関連の試薬、およびFACSによる細胞形質確認用抗体、などに使用する。
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