研究課題/領域番号 |
23501305
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
遠藤 良夫 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (30211783)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 光線力学的療法 / 5-アミノレブリン酸 / トランスポーター / PEPT1 / ABCG2 |
研究概要 |
光感受性物質とレーザー光線を用いる光線力学的治療(PDT)は低侵襲性のがん治療法の一つとして知られる。5-アミノレブリン酸(以下5-ALA)は、従来のPDTで用いられてきたポルフィリン関連化合物とは異なり、腫瘍細胞内でヘム生合成経路の酵素群によりプロトポルフィリンIX (PpIX) に代謝され、光感受性物質として活性化される特徴を有し、腫瘍特異性の高い新世代の光感受性物質として注目されている。本研究では、5-ALAおよびPpIXの細胞膜輸送系の機能修飾作用を有し、5-ALA-PDTの効果増強に有用なリード化合物を創出することを目的とする。5-ALAのがん細胞における集積性とPpIX産生の促進を図り、微弱な励起エネルギーでも細胞内で十分な活性酸素を産生する条件を整えることができれば、これまで適応がなかった腹膜播種や中皮腫、がん性腹膜炎や胸膜炎などにも5-ALA-PDTの応用範囲が広がることが期待される。本年度はヒトがん細胞を用いた5-ALA-PDT感受性試験により、PpIXの排出に関与するATP-結合カセットトランスポーターの一つであるABCG2に対する特異的阻害剤fumitremorgin Cや非特異的阻害剤ジピリダモールの効果増強効果を検討した。その結果、5-ALAの細胞内取り込みに重要なオリゴペプチドトランスポーターであるPEPT1を高発現するがん細胞においてはこれらの阻害剤が5-ALA-PDT感受性を効果的に増強することが明らかになり、PEPT1とABCG2の双方が重要な5-ALA-PDT感受性規定因子であることが確認できた。さらにヒト胃癌細胞MKN-45より樹立した獲得耐性細胞および親株の網羅的遺伝子発現解析により、耐性細胞ではPEPT1とABCG2を含む複数のトランスポーターの発現が変化していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PEPT1とABCG2の双方が重要な5-ALA-PDT感受性規定因子であること、ABCG2が効果増強において有用な標的の一つであることが実験的に証明できた。
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今後の研究の推進方策 |
ABCG2の非特異的阻害剤で抗血小板薬、血管拡張作用も併せ持つジピリダモールは5-ALA-PDT感受性を増強効果することが確認されたが、8-Br-cAMP、チクロピジン、シロスタゾール等のcAMP作動薬、抗血小板薬、血管拡張性薬には5-ALA-PDT増強効果は認められなかったことから、低分子化合物ライブラリーを用いて感受性増強剤のスクリーニングを重点的に実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ヒトがん細胞を用いた5-ALA-PDT感受性試験による感受性増強剤のスクリーニングのための細胞培養、遺伝子発現の解析、5-ALA-PDT感受性増強剤の候補化合物に対するin vivo評価に主に使用する予定である。
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