研究概要 |
本研究の目的は難治性AMLに対する分子標的療法の開発である。平成23年から平成25年度までの3年計画で本研究は進められている。3年計画の1年目は主に標的抗体の樹立に重点を置き実験を進めてきた。AML細胞株であるTF1, MY, KG1, SKM1, HL60, MEG01細胞をBalb/cマウスに免疫し、常法に従いモノクローナル抗体を樹立した。抗体のスクリーニングに用いた方法は申請者らが開発したDT3C(Extracellular domeinを除きCatalytic domeinおよびTranslocation domainを含んだジフテリア毒素(DT)とプロテインGのC domainを3つ持つ(3Cリコンビナントタンパク質)を用いた方法で行った。この方法で得られたモノクローナル抗体はイミュノトキシン活性が高く強力な殺細胞効果を示すものである。現在までに126個のモノクローナル抗体が樹立され、46個の抗原が同定された。この中には癌標的分子として有用なCD43, CD44, CD71, CD99, CD151, CD317に対する抗体が含まれていた。これらはイミュノトキシン活性が高く、強力な殺細胞効果を持つモノクローナル抗体であり標的治療の候補であると考えられた。このパネルの中から、腫瘍細胞に対して選択性が高いものを抽出し実用化するために必要な個別の解析を進める予定である。また、申請者らが考案し開発したDT3Cによる抗体スクリーニング法は癌標的分子の探索法として優れた方法であるこのことから、更なる標的抗体の探索も同時に進める予定である。
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