研究課題/領域番号 |
23501312
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
岡部 聖一 東京医科大学, 医学部, 講師 (40366109)
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研究分担者 |
木口 亨 東京医科大学, 医学部, 助教 (70453727)
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キーワード | 分子標的治療 |
研究概要 |
本研究では、がん幹細胞の維持に関与すると報告されている、Hedgehog-Gliシグナルに着目し、慢性骨髄性白血病における、治療後に残存する幹細胞に対して、Hedgehog-Gliシグナルのバイオロジカルな意義と他の因子とのクロストークを検討した。また、Hedgehog阻害薬を中心とした薬剤の効果とシグナル伝達の検索、Hedgehog阻害とABL阻害薬による、白血病幹細胞への作用や発現の検討を行った。まず患者サンプル、Ph陽性白血病細胞細胞株でHedgehogシグナル(Shh、Gli1、Gli2)の発現を確認した。次にHedgehog-Gli阻害薬であるGDC-0449を用い、白血病細胞の形態変化、コロニーアッセイによる増殖能の検討、FACSによる、アポトーシスアッセイ、イムノブロットによる検証を行った。またfeeder cellの存在下で、培養で細胞の増殖が促進されることを確認した。この系では、Hedgehog-Gliの発現の増加がイムノブロット法により確認された。次にSHHの投与では、腫瘍細胞増殖能が増強した。またfeeder cellの存在下では、ABL阻害薬による、アポトーシス誘導は減少し、GDC-0449とABL阻害薬の併用が、抗腫瘍効果を増強することを見いだした。またABL阻害薬とHedgehog阻害薬併用の効果をin vivoで確認した。以上をまとめ、論文として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者サンプルの収集も含め、計画どおりに進行するものと考える。さらに、Hedgehog-Gliが、CML細胞の維持に関与する可能性を示唆する結果が得られており、このことから、少なくとも新しい調節機構が存在することを示す成果が、今後も得られると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今までの結果を総括し、Hedgehog-Gliの作用を培養細胞株、動物実験を用いて検討し、その機序を明らかにする。また、白血病幹細胞の維持進展に関与する分子を明らかにし、阻害薬の開発と臨床へのフィードバックを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.白血病細胞移植マウスによる、Hedgehog-Gliの機能解析 Ph陽性骨髄細胞を採取し、マウスに移植する。移植後に体重、脾臓の重量、血液中の細胞に関して検討する。白血病発症の確認後、imatinib、dasatinib、nilotinib、cyclopamine、GDC-0449存在下でメチルセルロースによるコロニーアッセイを行う。また白血病発症マウスに対し、imatinib、dasatinib、nilotinib、cyclopamine、GDC-0449の併用投与を行い、生存率の検証を行い、GFPをマーカーとして、微小残存病変とHedgehog-Gliの関係について検討する。
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