研究課題
悪性腫瘍の多くで、前癌遺伝子c-MYCの増幅や過剰発現が観察されている。本課題においては、前癌遺伝子Myc が結合するe-box配列に対し、塩基配列特異的転写抑制分子PIポリアミド(PIP) を設計し、腫瘍の増殖抑制を試みた。このPIPが骨肉腫細胞株MG63に対して最も強い抗腫瘍効果を示したことから、我々はMG63 に対するPIPの抗腫瘍効果をより詳細に検討した。これまでに我々は培養系における解析にて、PIP投与群で細胞周期の遅れ、アポトーシス関連マーカーの発現上昇を確認した。また、MG63を皮下移植したヌードマウスに、週1回、1ヶ月間 Myc-6を尾静脈投与したところ、コントロール群と比べ有意な増殖抑制を確認した。本年度はさらにPIPの詳細な作用機序を解明するために、PIPポリアミドにより発現が変化する遺伝子についてDNA マイクロアレイを用いて網羅的に調べたところ、10 M のPIP投与後有意な発現低下を示した14の遺伝子のうち、長鎖non-coding RNA の一つであるMALAT1 遺伝子の上流1000bp 以内に、E-box 類似配列があることが判った。PIPがこの配列に特異的に結合することがゲルシフトアッセイにより確認され、またsiRNA によりMG63 におけるMALAT1の発現をノックダウンした結果、有意な増殖抑制効果が観察された。この結果よりMALAT1 がPIPの直接の標的の一つであり、PIPによる細胞増殖抑制に関与している可能性が強く示唆された。
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FEBS OPEN BIO
巻: none ページ: 1-7
10.1016/j.fob.2014.03.004