研究課題/領域番号 |
23501316
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岡本 邦男 近畿大学, 医学部附属病院, 助教 (90460865)
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研究分担者 |
中川 和彦 近畿大学, 医学部, 教授 (40298964)
岡本 勇 近畿大学, 医学部, 准教授 (10411597)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 臨床腫瘍学 / 分子標的治療 / EGFR / ゲフィチニブ |
研究概要 |
1)PC9/Survivin、HCC827/Survivinに対するゲフィチニブの抗腫瘍効果のin vitro、in vivoにおける検討我々が樹立したサバイビン高発現株(PC9/Survivin、HCC827/Survivin)においてゲフィチニブによってEGFR、AKTのリン酸化が抑制されてもサバイビンの発現が低下しないことを確認した。さらにアポトーシスについてもAnnexin法で解析したところ、サバイビン高発現株においては、親株と比較してアポトーシスを示す細胞が減少することが確認できた。この結果をもってヌードマウスを用いたin vivoの実験としてHCC827及びHCC827/Survivinの細胞株を用いて腫瘍形成を行い、ゲフィチニブを連日投与氏その抗腫瘍効果を確認したところ、In vitroでの結果と同様に、親株と比較してゲフィチニブによる腫瘍縮小効果が抑制され、サバイビン高発現株の腫瘍はゲフィチニブに耐性を示した。2)PTEN欠失を伴うEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌株におけるサバイビン特異的siRNAによるEGFR-TKI感受性変化の検討上記の実験によってEGFR-TKI暴露時のサバイビン発現量の低下がEGFR-TKIによって引き起こされるアポトーシスに重要な役割を果たしていることが確認された。そこで、EGFR-TKIのひとつであるタルセバに対してde novo耐性であるPTEN欠失を伴うEGFR変異陽性非小細胞肺癌株を用いて耐性克服の実験を行っている。この細胞株においてはタルセバによるサバイビンの発現低下が起こらず耐性を示すことを確認しており、サバイビンに特異的なsiRNAを用いてサバイビンの発現量を低下させた状況下でタルセバを暴露させたところ、Annexin法においてタルセバ単独では生じなかったアポトーシスの変化が著明に生じることを確認することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度に予定した研究内容に関しては上記9.研究実績の概要に述べたように、当初予想した結果を示すことができていると考えられる。平成24年度以降の研究内容に関してもこれまでの結果をもとに、すでにサバイビンを標的とした分子標的治療薬であるYM155とタルセバの併用実験も施行しており、併用によるEGFR-TKIへの耐性克服の可能性を示す実験結果が得られている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きEGFR-TKIに対する耐性克服を目的とした実験を継続していく予定である。サバイビンのsiRNAによるin vttroの実験に加えて、最終的な臨床応用を目的としてYM155を用いたEGFR-TKI耐性克服の実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
YM155とタルセバの併用実験を細胞、マウスを用いて実施する予定である。実験を行う設備は揃っていることから研究費は細胞培養や薬品の購入、マウスの購入飼育に使用する計画となっている。
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