高齢者にがん薬物療法を行うと、副作用が強く現れ治療を継続できず十分な効果が得られない。一方、治療に忍容性があり、生命予後が改善する高齢者もいる。悪性リンパ腫患者を対象に、高齢者の包括的機能評価(CGA)が治療成績におよぼす影響を評価した。高齢、進行期、重症な併存症がある患者は治療完遂率が低く、高齢、日常生活動作(ADL)低下、重症な併存症がある患者は寛解率が低かった。ADLが低下している患者は全生存率が低かった。一方、日常臨床で使用されている全身状態(PS)との相関は見られなかった。高齢者にがん薬物療法を行う場合、ADL や併存症などCGAの評価は治療成績を予測する有用な手段と考えられた。
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