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2013 年度 実績報告書

前立腺がん腫瘍源細胞の形質維持における癌遺伝子相互作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23501319
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

馬島 哲夫  公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 分子生物治療研究部, 研究員 (30311228)

キーワード前立腺がん / がん幹細胞 / RNAiスクリーニング
研究概要

前立腺がんでは高い腫瘍形成能を有する腫瘍源細胞が存在し、再発や治療抵抗性に関わることが示唆されている。しかしその性状については十分に明らかでない。本研究では、前立腺がんのがん化と関連する遺伝子産物や、化合物/RNAiスクリーニングにより同定された因子による腫瘍源細胞の生存維持機構の解明を目的とした。我々はまず、前立腺がん細胞株を用い、腫瘍源細胞の分離を試みた。その結果、CD151/CD166/TRA1-60陽性分画は腫瘍形成能が顕著であり、またスフェア培養での陽性細胞の濃縮も明確であった。また、臨床前立腺がん組織より、がん細胞の初代培養を行い、その細胞集団中に上述のマーカー陽性細胞が数%存在することを確認した。さらに遺伝子発現解析および機能スクリーニングによる統合的解析を進め、前立腺がん幹細胞生存因子PCSC-1(prostate cancer stem cell factor 1と仮称)を見出した。PCSC-1は、腫瘍源細胞マーカー陽性細胞で選択的に発現が高く、その発現抑制はマーカー陽性細胞を選択的に減少させた。またPCSC-1の発現を抑制すると、スフェア増殖が選択的に抑制され、ゼノグラフトでの腫瘍形成能を著しく低下した。逆にPCSC-1の過剰発現は、これらを亢進させた。臨床癌がんでの発現をみるとは、PCSC-1は特に前立腺がんで選択的発現を示し、正常組織と比べ発現の顕著な亢進が認められた。以上より、PCSC-1は前立腺がんのがん化と密接に関わり、とくに、腫瘍源細胞の生存維持に関わることがわかった。我々はさらに、PCSC-1による生存シグナルを明らかにするため、遺伝子発現解析を行い、PCSC-1の機能と関連するトランスクリプトームを明らかにした。本研究で見出された前立腺がんの新しい生存因子は、治療薬創製のための新しい標的分子となる可能性がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Development of a gene expression database and related analysis programs for evaluation of anticancer compounds.2013

    • 著者名/発表者名
      Ushijima M, Mashima T, Tomida A, Dan S, Saito S, Furuno A, Tsukahara S, Seimiya H, Yamori T, Matsuura M.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 104 ページ: 360-368

    • DOI

      10.1111/cas.12071

    • 査読あり
  • [学会発表] 遺伝子発現解析とRNAi探索による前立腺がん腫瘍源細胞生存因子の同定2013

    • 著者名/発表者名
      馬島哲夫、清宮啓之
    • 学会等名
      第72回日本癌学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20131003-20131005
  • [学会発表] RNAiスクリーニングおよび遺伝子発現データを用いた統合的解析による前立腺がん幹細胞生存因子の同定2013

    • 著者名/発表者名
      馬島哲夫、湯浅健、清宮啓之
    • 学会等名
      第17回日本がん分子標的治療学会学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      20130612-20130614

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公開日: 2015-05-28  

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