研究課題
多くの固形癌の組織は癌細胞だけでなく周辺の間質が混在する形で成り立っており、間質の中でも特に繊維芽様細胞(癌間質細胞とも呼ぶ)と癌細胞との間の癌―間質相互作用は、癌治療の新しいターゲットとして注目されつつある。本研究では、この癌-間質相互作用を調節して抗癌活性を発揮する新しいタイプの抗癌剤の開発を目指し、スクリーニング系を構築し活性物質の探索を行い、抗癌剤候補物質の創製を行った。平成25年度では、平成24年度に引き続き前立腺癌、胃癌、肺癌、膵癌、乳癌、大腸癌の共培養スクリーニング系で活性物質の探索を行うとともに、平成24年度に発見した新規化合物intervenolinの抗癌活性について検討した。先ず、intervenolinの放線菌からの生産量が低い問題を解決するため、有機合成研究者の協力により、化学的に全合成することでサンプルを安定的に得ることができるようになった。この合成intervenolinをマウスxenograftモデルに投与することで、intervenolinが胃癌および多剤耐性の大腸癌細胞に対してin vivoで有意に抗癌活性を示すことが分かった。また、in vivoの抗癌活性の発揮にはホストであるマウスの間質細胞がxenograftの腫瘍内に浸潤することが重要であることが示唆された。さらに、in vitroの解析からintervenolinを間質細胞に処理することで何らかの腫瘍増殖抑制因子が分泌されることが示唆された。
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