研究概要 |
びまん型胃がん細胞で特異的に発現する遺伝子を選抜するため、22例のびまん型胃がん組織と12例の充実型胃がん組織のマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイルを比較し、びまん型で特徴的に発現する約700種の遺伝子を選抜した。その中で特にびまん型の多くで強く発現する遺伝子にMYH11, LIPF, MFAP4, SERPINF1があったが、胃がん細胞株での発現は弱く、主に線維芽細胞等の豊富な間質由来の遺伝子であったため、引き続き遺伝子探索を進めた。一方、びまん型胃がんに特徴的な腹膜再発に関与し、腹膜中皮では発現しないケモカイン受容体CXCR4およびCXCR7遺伝子および充実型胃がんで遺伝子増幅を示し、びまん型胃がんでも強く発現するがん遺伝子候補GSDMB遺伝子に着目し、そのプロモーターをルシフェラーゼレポーターに組み込み、プロモーター活性を調べた。ヒトの腹膜中皮細胞MeT-5Aで活性が弱く、6種のびまん型胃がん細胞株44As3, 58As9, 60As6, HSC44, HSC58, HSC60で活性が強いプロモーターを期待したところ、GSDMBプロモーターが6種のびまん性胃がん細胞株中5株で強い活性を示し、腹膜中皮細胞では基本レポーターべクター程度の活性を示すのみだった。そこで、このGSDMBプロモーターを細胞殺傷用遺伝子ベクターに組み込む準備を行った。
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