研究概要 |
びまん型胃がんでも強く発現するがん遺伝子候補GSDMB遺伝子に着目し、そのプロモーターをルシフェラーゼレポーターに組み込み、プロモーター活性を調べた。ヒトの腹膜中皮細胞MeT-5Aで活性が弱く、6種のびまん型胃がん細胞株44As3, 58As9, 60As6, HSC44, HSC58, HSC60で活性が強いプロモーターを期待したところ、GSDMBプロモーターが6種のびまん性胃がん細胞株中5株で強い活性を示し、腹膜中皮細胞では基本レポーターべクター程度の活性を示すのみだった。そこで、このGSDMBプロモーターを細胞殺傷用プラスミドベクターに組み込み、細胞死誘導活性を測定したところ、上記プロモーター活性の強い胃がん細胞に高い活性を認めた。同時にHSVtk遺伝子を組み込んだレンチウイルスベクターも準備した。このベクターは、in vivo腹膜再発モデルマウスの抑制試験に使うため、染色体への挿入型を選択した。これは腫瘍内への遺伝子導入が充分でなくとも、バイスタンダード効果によって、染色体に組み込まれていない周囲のがん細胞や、殺傷から逃れた細胞分裂を休止させたがん細胞への効果が期待できる。さらに、特異的プロモーター以外にも強力活性を持つCMVプロモーターに細胞死誘導遺伝子GSDMAを連結させたアデノウイルスベクターを準備し、ウイルス粒子を大量に得た。このウイルスを胃がん細胞に感染させ、in vitroの細胞殺傷効果も確認した。
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