研究課題
平成25年度本研究課題の研究実績の概要は以下のとおりである。平成24年度の成果を踏まえ、大腸がん化学予防における核内受容体及び標的因子の同定と発がんにおける機能解析を進めた。大腸がん幹細胞及び大腸がん病態モデルの系で標的遺伝子の同定を進め、ビタミンD、レチノイン酸、高極性キサントフィルなどの低分子脂溶性シグナルを介する標的因子の応答経路並びに病態における役割の解明を進めた。大腸がん幹細胞の特異的マーカータンパク質に着目し、CD44 陽性細胞、EpCAMhigh細胞をがん幹細胞としてフローサイトメーター (FACS)により単離した。免疫不全マウスへの移植による腫瘍形成能、スフェロイド形成能、薬剤耐性能を指標に、大腸がん幹細胞特性を評価した。APCMinマウス及びCD44 (+)/EpCAMhigh大腸がん細胞に対する核内受容体(VDR、RAR、RXR、PPARγ、PPARα、PPARβ/δ)、Akt/PI3K及びWnt/β-Catenin経路の遺伝子・タンパク質発現を網羅解析し、大腸がん幹細胞の標的分子、標的経路、バイオマーカーを探索した。大腸がん幹細胞の特徴、特性を明らかにするために、細胞周期やプロテアソーム活性を指標とする選択的単離とライブセルイメージングにより大腸がん幹細胞の分子挙動を追跡した。前年度から引き続き、細胞単位でのビタミンD欠乏に伴う発がんの分子機構を解明するため、ビタミンD代謝酵素であるCYP24A1に着目し、その発がん過程における役割を研究中である。期間内に、CYP24A1が広範ながん組織で非調節性に高発現することを見出した。また、CYP24A1の過剰発現に伴う腫瘍内微小環境でのビタミンD不足は、腫瘍細胞の悪性形質の獲得と密接に関連することを証明するデータを蓄積中である。本研究の展開から、CYP24A1が新規のがん遺伝子であることを証明し、CYP24A1を標的とする全く新しい治療戦略の創出を目指す基盤的情報を得た。
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