研究課題/領域番号 |
23501327
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
佐伯 宣久 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 主任研究員 (80466200)
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キーワード | 胃がん易罹患性遺伝子 / GPIアンカー型膜タンパク / 細胞内シグナル伝達 |
研究概要 |
胃がん易罹患性遺伝子として同定されたPSCAは胃がん発生抑制的に機能すると想定されるが、PSCAがGPIアンカー型膜タンパクであることから何らかの細胞内シグナル伝達に関与していると考えられる。この胃がん発生抑制的PSCA細胞内シグナル伝達経路を解明する上で、PSCAと結合する分子の同定が大きな手がかりになると考え、FLAG-PSCAを培養細胞で発現させ、その細胞溶解液について抗FLAG抗体で免疫沈降を繰り返し行ったが、PSCAと結合分子は得られなかった。そこでFLAG-PSCAを発現させた培養細胞を分子架橋剤で処理した後、その細胞溶解液について抗FLAG抗体で免疫沈降を行ったところ、抗FLAG抗体によるウェスタンブロット解析にてFLAG-PSCAの分子量よりも大きいサイズのシグナルが得られたことから、FLAG-PSCAが何らかの分子と複合体を形成していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当研究課題の遂行は当初予想していたより困難を極め、3年の研究期間内にPSCAの機能に関する十分な成果を出せず、研究補助事業期間の延長を申請するにいたった。
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今後の研究の推進方策 |
分子架橋剤を用いた免疫沈降により得られたFLAG-PSCA-結合分子複合体を単離・精製し、これを質量分析にかけて結合分子を同定する。これを手掛かりに胃がん発生抑制的PSCA細胞内シグナル伝達経路の一端を解明し、その後の全貌解明のための研究へと繋げる。
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次年度の研究費の使用計画 |
PSCAがGPIアンカー型膜タンパクであることから何らかの細胞内シグナル伝達に関与していると考えられ、この胃がん発生抑制的PSCA細胞内シグナル伝達経路を解明する上で、PSCAと結合する分子の同定が大きな手がかりになると考え研究を進めてきたが、PSCAに対する免疫沈降によるPSCA結合分子の単離は、当初の予想以上に困難を伴い、平成25年度後半になって分子架橋剤を用いることでようやく可能となってきた。当初の計画より研究の進展が大幅に遅れてしまったことから、未使用額が生じ、研究補助事業期間の延長を申請するにいたった。 FLAG-PSCAを発現させた培養細胞を分子架橋剤で処理した後、その細胞溶解液について抗FLAG抗体で免疫沈降を行ったところ、抗FLAG抗体によるウェスタンブロット解析にてFLAG-PSCAの分子量よりも大きいサイズのシグナルが得られたことから、FLAG-PSCAが何らかの分子と複合体を形成していることが示唆された。平成26年度はFLAG-PSCA-結合分子複合体を単離・精製し、これを質量分析にかけて結合分子を同定し、同定した分子を手掛かりにして分子経路を明らかにするための解析を、培養細胞などを用いて行うことから、これらに必要な試薬・消耗品などの購入に未使用額をあてる。くわえて、研究成果を学会あるいは論文で発表する予定であることから、論文投稿費や学会参加費・旅費にあてる。
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