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2011 年度 実施状況報告書

琵琶湖水圏生態系に影響を与える金属配位子の特定と生産者の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23510010
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

丸尾 雅啓  滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80275156)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード環境質定量化・予測 / 微量元素 / 有機配位子 / 琵琶湖 / 化学スペシエーション
研究概要

本研究では、琵琶湖水中において生体必須元素である鉄・銅の配位子として作用し、両金属の動態に影響する溶存有機物群の性状を明らかにすることを目的とし、より選択的、特異的に両金属と結合する有機配位子の検出を試みている。研究は生物培養による配位子生産ともに、実際の水系における配位子の存在についても検討を行う。 野外調査としては、昨年度も琵琶湖北湖最深部にて底層まで深度別採水を行った。また、高濃度の他生性有機物を含むと考えられる、長野県白駒池の試料を採取し、分析中である。培養実験については予算執行の状況を考慮し、今年度に実験を行うこととした。 また、K.J.Orians 准教授(UBC,BC,Canada)を訪問し、実験結果に関する情報交換、手法の改良点等について議論した。同時に高濃度腐植を含む湖水を採取した。琵琶湖水に影響を与えると考えられる下水処理水についても採取し、指導大学院学生とともに、有機物同士の相互作用についての研究を並行して行った。成果については、ICEPR20111(Ottawa,ON,Canada)にて学生が発表を行い、主催者推薦によりEnvironmental Toxicology & Chemistryに原著論文として投稿した。最終修正段階にあり、今年度内に掲載される可能性が高い。同じ処理水の錯化容量についても測定を行う予定である。 過去に採取した試料(韓国汽水湖、琵琶湖水)については試行的に分析を行い、いずれの試水にも、これまでのAdCSV法では検出されなかった、安定度の極めて高い錯体の存在が示唆された。この結果について日本陸水学会第76回大会(島根大学)にて口頭発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は、初年度から培養実験による配位子の生産者特定に着手し、淡水環境下の金属動態の支配因子を掌握する予定であったが、全予算配分が見送られる可能性が示唆されたためにインキュベーターの購入を繰り延べた。藻類の選択と培養による配位子生産については、5月にインキュベーターを購入し、今年度に行う予定である。 試料採取については順調であり、琵琶湖における採水を行うとともに、国内では腐植濃度の高い長野県白駒池での採水、また、ヴァンクーバーUBCのK.Orians准教授訪問の際に、以前に自生性有機物由来の配位子濃度が高いことを確認している、Burnaby Lake, Deer Lakeおよび流入河川において試料採取を行った。 今年度は予定に従い、鉄が二次制限因子になっている可能性がある霞ヶ浦、富栄養化の著しい印旛沼などでも夏季を中心に採水を行いつつ、採取試料の分析をおこなう。

今後の研究の推進方策

琵琶湖での野外調査を継続する。特に時期による配位子の安定度定数の違い、優占種の変遷を比較する。湾内など生産が盛んな水域でも採水を行い配位子の検出を試みる。水生植物の増殖が盛んな水域でも採水を行い、大型植物が生産する配位子が存在する可能性を検証する。 また、鉄が二次制限因子になっている可能性がある霞ヶ浦、富栄養化の著しい印旛沼などでも夏季を中心に採水を行う。シアノバクテリアが卓越した余呉湖について同様の比較を行う。 インキュベーターを今年度購入利用し、琵琶湖において優占しかつ培養条件が確立されている藻類に金属ストレスを与え、配位子生産を確認する。Pseudopolarography にて、銅配位子を検出・安定度定数を決定する。また、すでに採取した他生性有機物供給源としての下水処理水と流入河川水中に存在する配位子の安定度定数を測定する。 当該年度に開催されるASLO Summer Meeting (アメリカ陸水海洋学会:大津)、日本陸水学会第77回大会にて成果発表を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

琵琶湖産植物プランクトンを用いた培養実験を行うために、昨年度見送ったインキュベーターを購入する。電気化学測定用の消耗品、また試料保存用のテフロン製容器を購入する。これらの購入を中心に、物品費を使用する。 ASLO Summer Meeting (アメリカ陸水海洋学会:大津)、日本陸水学会第77回大会(名古屋大学)での成果発表、また、印旛沼などでの試料採取のために旅費を使用する。 試料採取・器具準備補助のために、謝金等を使用する。また、現場でのレンタカー使用、分析機器の修理が必要になった際のために、その他経費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Seasonal characteristics of surface water fulvic acids from Lake Biwa and Lake Tankai in Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Nobuhide Fujitake, Kumiko Tsuda, Suzuka Aso, Hiroki Kodama, Masahiro Maruo and Koyo Yonebayashi
    • 雑誌名

      Limnology

      巻: 13 ページ: 45-53

    • DOI

      10.1007/s10201-011-0354-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Unique elution behavior of bromide and nitrate in anion-exchange chromatography using potassium chloride eluent containing cadmium or zinc ion2011

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Maruo, Hajime Obata
    • 雑誌名

      Analytical Sciences

      巻: 27 ページ: 949-951

    • 査読あり
  • [学会発表] Pseudopolarographyによる湖水中金属配位子の評価2011

    • 著者名/発表者名
      丸尾雅啓、小畑元
    • 学会等名
      日本陸水学会第76会大会
    • 発表場所
      島根大学
    • 年月日
      2011年9月25日
  • [学会発表] Binding Interaction of 1-Napthol with the Dissolved Organic Matter of Lake Biwa and Treated Sewage Wastewater: A Comparative Analysis based on UV-Visible and Fluorescence Characteristics2011

    • 著者名/発表者名
      Tanveer Ahmed, Masahiro Maruo, Keiichi Ohta, Osamu Nagafuchi
    • 学会等名
      International Conference on Environmental Pollution and Remediation
    • 発表場所
      University of Ottawa
    • 年月日
      2011年8月18日

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公開日: 2013-07-10   更新日: 2013-09-03  

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