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2013 年度 実績報告書

都市型人工塩性湿地における生物圏と環境圏間の炭素フラックスの実態と機序解明研究

研究課題

研究課題/領域番号 23510011
研究機関大阪市立大学

研究代表者

矢持 進  大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30315973)

研究分担者 遠藤 徹  大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00527773)
キーワード塩性湿地 / CO2 / 光合成 / 有機物分解
研究概要

目的:近年,CO2などの温室効果ガスの吸収に関して,IPCCは2000年~2005年において,年間22億トンのCO2が海洋で吸収されていると報告した.中でも,干潟などの浅場の寄与が大きく,その重要性が指摘されている.しかし,このことに関してCO2を指標として定量的に評価した例は少ない.本研究では,都市近郊の富栄養な人工塩生湿地である大阪南港野鳥園を対象とし,堆積物表面でのCO2吸排出特性および吸排出速度に関して検討した.
2.方法:大潮の干出時にチャンバー法を用いた調査を行った.明チャンバーでは光合成,有機物分解,呼吸が計測され,CO2吸排出速度がわかる.暗チャンバーでは有機物分解と呼吸のみが計測され,CO2排出速度がわかる.よって両者の差からCO2吸収速度が算出できる.
結果と考察:干出地点のCO2排出速度の増加原因として,地下水位の低下に伴い,堆積物間隙中に空気が供給され,有機物分解が促進されたことが考えられた.また,CO2吸収速度の増加原因は堆積物温度の上昇に伴う生物活性の増加に起因した.一方で冠水地点では吸収・排出速度ともに時間的な変化はなく,若干ながらCO2は吸収されていた.測定日ごとのCO2吸収および排出速度と,堆積物温度との関係を見ると,吸収速度に関してはQ10=1.95,排出速度に関してはQ10=2.25が得られた.また,吸収速度は堆積物温度とChl-a,排出速度は堆積物温度の関数として得られた.これらのことにより,底質調査のみで吸収および排出速度の日変化の予測が可能と考えられた.排出速度の変化に関して,潮汐を模した室内実験を行った.干出時は下げ潮時よりも上げ潮時の方がCO2排出速度は大きいが,冠水時は潮汐によるCO2排出速度の変化がなかった.また,堆積物温度・水位・光量を一定とした場合,干出時のCO2吸収速度は大気中のCO2濃度が律速要因であることが分かった.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 大阪南港野鳥園湿地のグリーンタイド制御に関する一考察2013

    • 著者名/発表者名
      島並 諒・遠藤 徹・矢持 進
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 69 ページ: 1161-1165

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 人工干潟におけるCO2吸収量の定量的評価の課題と改善策2013

    • 著者名/発表者名
      田中俊行・藤田哲朗・矢持 進
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 69 ページ: 1176-1180

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 潮汐に伴う干潟堆積物からのCO2フラックスの変動に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      藤田哲朗・遠藤 徹・田中俊行・矢持 進
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 69 ページ: 1181-1185

    • 査読あり
  • [学会発表] 大阪南港野鳥園北池塩生湿地のCO2吸排出特性に関する研究

    • 著者名/発表者名
      田中俊行・矢持 進
    • 学会等名
      日本水産学会近畿支部
    • 発表場所
      大阪市 大阪市立大学文化交流センター
  • [学会発表] 大阪湾の水環境課題と川・海連携による再生

    • 著者名/発表者名
      矢持 進
    • 学会等名
      第8回海の再生全国会議
    • 発表場所
      大阪市 海遊館
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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