研究課題/領域番号 |
23510013
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
服部 寛 東海大学, 生物理工学部, 教授 (60208543)
|
研究分担者 |
佐々木 洋 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (10183378)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 植物プランクトン / 円石藻類 / 海洋酸性化 / 地球温暖化 / 西部北太平洋 |
研究概要 |
西部北太平洋亜寒帯海域の地球温暖化による海洋酸性化により植物プランクトン、特に炭酸カルシウム殻をもつ円石藻類の影響を明らかにする目的で、酸性化予測の船上実験を行った試料の分析を実施した。現場における分布や酸性化予測実験で得られた試料分析は終了していないが、これまでの結果では、海洋酸性化が進むほど、培養中の円石藻類の細胞密度の減少する傾向が確認された。 また西部北太平洋と対比する目的で、海洋酸性化影響が植物プランクトンの円石藻類や動物プランクトンの翼足類の分布や再生産にたいする値を推定する目的で、現場の現存量調査と酸性化予測実験に対応する培養実験を南極海においても実施した。現在試料の分析中であるが、円石藻類の現存量は北太平洋と同程度であるが、出現種数がきわめて低く、北太平洋のほうが、円石藻類の種多様性が高いことが推定出来る。 24年度はもこれまで採集、実験をおきなってきた試料の分析を進めると同時に、結果の学会発表や論文発表を行ってゆきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度は、研究責任者が第53次南極地域観測隊の夏隊に参加したため、十分な実験や試料の処理が出来なかったことが、本研究課題の予定通りの進展に繋がらなかった理由である。南極海においても酸性化実験を行い、これから試料分析をすすめることにより、円石藻類に対する海洋酸性化の影響を南極海でも同時に明らかにすることが出来るので、西部北太平洋亜寒帯海域の酸性化に対する生物学的特長が鮮明となる。と同時に南極海まで含む広範な比較研究が出来ることは、酸性化が植物プランクトンに対する影響を明らかにする上で、意義があると考えられ、南極海での調査研究は本研究課題にとっても有効な結果をもたらすものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
試料の処理を進めると同時に、結果の学会や論文の公表を進める。 現在、9月に米国で開催されるThird International Symposium on the Ocean in a High CO2 Worldでの発表を、研究責任者と分担研究者のそれぞれが申し込みをおえている。 京都で7月に開催されるASLO学会にも参加して、海洋酸性化が円石藻類の成長と分布におよぼす影響についての論議を深める予定である。 また、現場における円石藻類を用いた海洋酸性化実験については、可能な限り調査航海の機会をつくって、実施して実験結果の充実を図りたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
現場における円石藻類を用いた海洋酸性化実験については、可能な限り調査航海の機会をつくると同時に室内実験の充実の為に培養容器や培養記録の保存のための機器購入を行い、実験結果の精度充実を図りたい。 試料の処理を進めるため、電子顕微鏡に関する消耗品や薬品・ろ紙類の購入、結果の学会や論文の公表を進めるための学会参加旅費(7月の大津で開催されるASLO、9月に米国で開催されるHigh CO2 World)で使用する。
|