近年の環境問題や環境意識の高まりから、地域環境に対する様々な環境物質定量化、環境計測手法が望まれている。特に最近はPM2.5の飛来など環境計測の直接的なニーズが高まっている。本研究では、独自の機体構造により垂直上昇・下降を行なう自動環境計測機を開発することを目的とした。 既存の回転翼機はプロペラの反力を打ち消して操縦性を確保していたが、 GPSほかセンサによりプロペラの反力で自転したままでも自律的に航行できる飛行体を提案し、飛行原理の検証、飛行体の姿勢制御方法、飛行の自律化について研究を行った。 まず、小型試作機を使って機体の姿勢制御について調べた。重心位置と歳差運動の関係や、横方向移動のための制御と機体の安定化について調べ、機体の安定化を行った。その後、微風下でのGPSによる位置制御が可能となった。高さ方向の位置制御については、GPSのみによる高度の自律制御が困難であったため、高精度の気圧センサを高度制御に併用した。その結果、高度制御の自律化が可能となった。次に、飛行高度の高度化について検討を行った。上昇力を上げるためには、モータ・プロペラの大型化とモータの多重化(二重反転モータの利用)が考えられる。まず、二重反転モータの利用による上昇力の増加を狙った機体製作を行った。二重反転モータを利用すればプロペラの反力を相互に打ち消すことができるため機体の自転制御は不要となる。しかし、機体の二重反転型のヘリコプターに機体の自転制御を組み込むことで、機体を回転させながらの飛行制御が可能となり、もしモータの一方に不具合を生じた時でも帰還可能となるフェイルセーフ機能を与えることができる。この二重反転型のフェイルセーフ機能についても実機で動作検証を行った。 以上の成果は国内関連学会で報告し、国際会議での論文発表の予定である。
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