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2012 年度 実施状況報告書

PFOS、PFOA及びそれらの前駆物質の起源と水環境動態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23510020
研究機関埼玉県環境科学国際センター

研究代表者

茂木 守  埼玉県環境科学国際センター, 化学物質担当, 主任研究員 (10415391)

研究分担者 野尻 喜好  埼玉県環境科学国際センター, 化学物質担当, 担当部長 (70415389)
堀井 勇一  埼玉県環境科学国際センター, 化学物質担当, 主任 (30509534)
キーワード有機フッ素化合物 / PFOS / PFOA / 前駆物質 / 生活系排水 / 製品 / 生分解
研究概要

平成24年度は、生活系排水による広域的有機フッ素化合物汚染の一因と予想される7カ所の下水処理場放流水、6カ所の農業集落排水処理施設放流水、また、有機フッ素系化合物が使用されていると考えられる21種類の市販品(自動車用シャンプー・ワックス、衣類・皮革用防水スプレー、住宅用防水剤)について、PFOS、PFOA及びそれらの前駆物質(計15物質)を調べた。その結果、PFOS、PFOAはほとんどの下水処理場、農業集落排水処理施設の放流水から検出されたが、前駆物質の検出割合と濃度はPFOS、PFOAよりも総じて低かった。平成24年度に購入した市販品からは、PFOAの前駆物質である8:2FTOHが21製品中16製品から検出され、現在も防水用途目的の市販品に広く使用されていることがわかった。また、21製品中2製品からはPFOSの前駆物質が検出された。これらのことから、生活系排水処理施設の放流水や防水用途目的の市販品は、PFOS、PFOAによる環境汚染の一因になりうると推察された。
河川水におけるPFOS、PFOAの前駆物質からPFOS、PFOAへの転換挙動を把握するため、ISO14592「表層水または表層水/底質懸濁物のフラスコ振騰バッチテスト」に準じた方法で、前駆物質の生分解試験を行った。その結果、PFOSの前駆物質であるN-MeFOSEは、28日間で約74%がN-MeFOSAAへ、約15%がPFOSへ転換した。同様にPFOAの前駆物質である8:2FTOHの生分解試験を行ったところ、14日間で約4割がPFOAへ転換し、未知物質の生成も示唆された。これらのことから、河川に流入した前駆物質は、河川中の生物作用によりPFOS、PFOAへ転換することが示され、8:2FTOHからPFOAへの転換速度は、N-MeFOSEからPFOSへの転換速度よりも速いことが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

下水処理場放流水、農業集落排水処理施設放流水のPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質濃度を測定し、これらの水が河川に対する汚染の一因であることを把握した。さらに、これらの施設から排出されるPFOS、PFOAの排出量を算定し、下水処理場からの負荷が大きいことを示した。
市販品のPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質濃度を測定し、一部の製品にPFOAやPFOSの前駆物質が含まれることを確認した。
河川水を用いたPFOSとPFOAの前駆物質の生分解試験を行ったところ、N-MeFOSEはPFOSに、8:2FTOHはPFOAにそれぞれ中間生成物を経て転換した。しかし、マスバランスを見ると8:2FTOHから生成するPFOAは4割程度で、8:2FTOHから未知物質に転換した可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

埼玉県内で環境基準点を有する35河川38地点の河川水について、PFOS、PFOA及びそれらの前駆物質濃度を調べ、平成23年度の調査結果と比較することで、環境汚染レベルの推移を把握する。また、各河川に対する生活排水処理施設からの負荷量との関係等について解析を進める。
河川環境中におけるPFOS、PFOAの前駆物質の生分解特性を把握するため、試験に供する河川水の採取地点や季節を変えることで、生分解傾向の違いを調べる。また、8:2FTOHの生分解に伴って生成すると考えられる未知物質をLC/MS/MS等を用いて同定し、8:2FTOHの生分解過程を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

PFOS、PFOA及びそれらの前駆物質について調査、分析に必要な器具、試薬等を購入する。
河川水を用いたPFOS、PFOAの前駆物質の生分解試験を行うため、必要な機材等を購入する。
これまでに得られた研究成果を国内、国際学会等で発表するための経費として使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 元小山川の環境基準点における河川水中ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)濃度の推移2013

    • 著者名/発表者名
      茂木守、野尻喜好、細野繁雄、杉崎三男
    • 雑誌名

      埼玉県環境科学国際センター報

      巻: 第13号

    • URL

      http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/570488.pdf

  • [雑誌論文] Occurrence of perfluorinated compounds in effluent from large and small scale wastewater treatment plants in Saitama, Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Motegi, M., Nojiri, K., Horii, Y.
    • 雑誌名

      Organohalogen Compounds

      巻: 74 ページ: 235-238

    • URL

      http://www.dioxin20xx.org/pdfs/2012/1062.pdf

    • 査読あり
  • [学会発表] Occurrence of perfluorinated compounds in effluent from large and small scale wastewater treatment plants in Saitama, Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Motegi, M., Nojiri, K., Horii, Y.
    • 学会等名
      32nd International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants
    • 発表場所
      Cairns, Australia
    • 年月日
      2012-08-27
  • [学会発表] 製品中のPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質濃度

    • 著者名/発表者名
      茂木守、野尻喜好、堀井勇一
    • 学会等名
      第21回環境科学討論会
    • 発表場所
      愛媛県県民文化会館(愛媛県松山市)
  • [学会発表] パージアンドトラップによるフッ素テロマーアルコール類の測定

    • 著者名/発表者名
      野尻喜好、茂木守、堀井勇一
    • 学会等名
      第47回日本水環境学会年会
    • 発表場所
      大阪工業大学(大阪府大阪市)
  • [備考] 外部資金研究概要

    • URL

      http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/519560.pdf

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公開日: 2014-07-24  

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