研究課題
(1)昨年度までに、八戸沖の酸素極小層をはさむ海底における、酸素濃度プロファイルとフラックスの測定を完了した。本年度は、これらの成果まとめてEGUにて発表した。また、これまでに行った相模湾などの酸素極小層におけるデータもとりまとめ、酸素が乏しい海底の現場において、酸素濃度やフラックスが時空間的に変動する仕組みや定量的な変動幅を明らかにし、ASLOにて発表した。(2)現場測定用のプロファイラーの開発に着手した。具体的には、微小電極に流れるピコアンペアオーダーの電流を正確に増幅するアンプの開発を行った。電流漏れや発振を止めて安定に増幅させる実装技術を会得し、製作したアンプは酸素濃度の増減に合わせ、出力電圧が3Vほど変化することを確認した。この他にも、現場での測定時に海底の様子を撮影するためのカメラシステムを開発した。特に、光源については被写体からの距離によって赤色光を増強することで、水中における暖色の減少を補正する機能を持った樹脂固定型LED光源を新たに製作し、特許出願を行った。
2: おおむね順調に進展している
測定とデータとりまとめについては、国際会議で発表するなど順調に進展していると考える。しかし、酸素濃度を深海底の現場にて測定する装置についてはやや遅れていた。本年度は、装置の中でも最も難易度が高い微小電流アンプの開発に成功したため、総合して概ね順調に進展したと自己評価した。
(1)開発と試作:現場測定型酸素濃度プロファイラーの開発を完了すると共に、プロファイラーを海底に運び、測定後再び回収する目的で使用するランダーシステム開発の検討を行う。(2)これまで、八戸沖、インド洋アラビア海、相模湾などで得られた現場酸素濃度プロファイルとその変動の知見をまとめ、学会発表や論文作成を行う。
(1)プロファイラー、ランダーの開発については、科研費の消耗品費を使用するが、業者によるカスタム品の製作が必要な場合、その他の費用を使用する。不足部は運営費交付金などから捻出する。(2)学会発表、論文校正・印刷に係る費用はその他の費用から捻出する。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
地球化学
巻: 47 ページ: 1-20
Nature Geoscience
巻: 6 ページ: 284-288
DOI: 10.1038/NGEO1773
http://www.jamstec.go.jp/res/ress/ogurik/index_j.html