研究課題
研究期間3年のうち、2年間に当初の研究計画をほぼ完了した。そこで本年は、1.これまでの航海などで取得したデータを解析し、堆積物-水境界における化学的、地質学的な環境の変動の記載を行うこととした。また、2.海底へカメラなどの観測装置を運び、回収するランダーシステムの開発を行った。1.については、東日本大震災によって、水深7000mを超える深海底で生じたことを明らかにするため、深海潜水調査船支援母船「よこすか」YK11-E06航海を行い、深海カメラシステムを使い現場の様子をハイビジョン撮影を行い、堆積物を採取した。これによって地震が海底環境に与えた影響を精査した。水中の映像を画像処理して定性的な濁度を求めた結果、仙台沖日本海溝水深7553mの海溝軸では震災4ヶ月後も厚さ30mを超える強い濁度層が存在し、海底では厚さ31.5cmにおよぶタービダイトが発生したことが明らかになった。このことは、地震によって深海への有機炭素などの成分がより多く埋没した可能性を示唆する。2.については、アルミニウムのフレームにカメラや光源を組み込んだ耐圧ガラス球などを取り付けた、小型で持ち運びの簡単なランダーシステムを開発した。このランダーは、海洋調査船「かいよう」KY13-13航海において、水深8300mを超える日本海溝プレート三重会合点付近において投入を行い、回収に成功した。より大きな浮力とウエイトに交換する必要が確認されたものの、センサを深海底に運び、回収する手段を確立した。
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Deep-sea research I
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