研究課題/領域番号 |
23510027
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
大谷 眞二 鳥取大学, 医学部, 講師 (10314577)
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キーワード | 黄砂 / 健康影響 / アレルギー / 越境汚染 |
研究概要 |
本研究は黄砂が人体の健康に及ぼす影響を評価することを目的としている。当該年度は健常者50人を対象として、日記式の自覚症状調査を4月から5月にかけて実施した。また、12月からはそれまで質問紙で行っていた調査をインターネットを用いたウェブ式アンケートに切りかえて同様の調査を3月まで継続した。 これらの期間に発生した黄砂の前後の自覚症状の変化を調査するとともに、黄砂粒子が多く含まれる大気中浮遊粒子状物質やPM2.5などの大気汚染物質、花粉、気象データなどの因子と自覚症状との関連性を検討した。さらに、同意の得られた研究協力者30人を対象に血清中の特異的および非特異的免疫グロブリンE値を測定し、黄砂時の自覚症状との関連性を検討中である。これに伴い、当地域で大気中より採取した黄砂粒子および黄砂発生源であるモンゴルのゴビ砂漠で採取した砂塵粒子の成分分析を行った。 また、黄砂時に皮膚症状を呈するものに金属アレルギーを有する頻度が高いことをパッチテストなどを用いて検討してきた。その結果、黄砂による自覚症状の中には、金属アレルギーを代表とするIV型アレルギー反応と関連性があることを国内・国際学会および英文雑誌において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
黄砂時の皮膚症状と金属アレルギーとの関連性については、研究実績の概要に記載したように英文雑誌に掲載され一定の成果が得られた。 また、その他の自覚症状と血清のアレルギーおよび炎症マーカーとの関連性についての検討については現在進行中である。当初、本研究では黄砂発生前後で被験者の各種データを比較する予定であったが、自然現象である黄砂発生を前提としていたため、被験者の都合をあわせることが困難であった。そのため、方法を若干修正し、33項目のアレルゲンに対する特異的免疫グロブリンE値を事前に被験者から測定しておき、どの項目が黄砂時のどの症状と関連性を持つか検討することとし、採血によるデータ収集をほぼ終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、被験者からのデータ収集はほぼ終了しており、次年度の黄砂および気象データを取得した後、これらの関連性を統計学的手法により評価する。また、昨今、問題となっている微小粒状物質PM2.5との関連性も併せて評価する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は被験者が予定されていた人数より少なかったため、これに伴って発生した検体測定料や謝金等の一部を次年度に繰り越すことになった。次年度に若干名のデータを追加する予定であり、これにかかる費用に充てる予定である。また、各種消耗品のほか、研究の成果を随時、国内外の学会で報告し、かつ英文雑誌に投稿する予定であり、これらにかかる旅費や投稿費用に研究費をあてる計画である。
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