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2012 年度 実施状況報告書

沖縄島の日本脳炎ウイルスの変遷ーウイルス侵入リスクと健康影響評価への試み

研究課題

研究課題/領域番号 23510030
研究機関琉球大学

研究代表者

斉藤 美加  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90235078)

キーワード沖縄 / 新興再興感染症 / リスク評価
研究概要

島嶼という地理的特性を持った沖縄島で分離された日本脳炎ウイルス(JEV)の変遷を、遺伝子解析により描き、国内外のJEV株との関係性を明らかにする。これにより、JEVの島への侵入ルート、侵入頻度を類推し、外来性JEV侵入リスクの評価を試みる。また、生物学的には、島嶼における遺伝的多様性と系統淘汰に関して、JEVの変遷を通して考察を加えようとするものである。
当該年度において、沖縄島で1971年から2004年にかけて分離された76株のJEVのE1500塩基配列の塩基配列を決定し、系統樹解析を行なった。沖縄島では、1971年以降少なくとも4度のJEV移入・定着が見られ、うち2度(1980年頃、1990年代後半)主な系統置換が生じていた。すなわち、71-78、85-92、02-04の分離年代別に沖縄独自の異なる分集団を形成した。また、沖縄島のJEVは日本の他地域、アジア(ベトナム、韓国)との関係性が強く、分離年がやや遅れている。台湾のJEVとは近縁ではない事が明らかになった。
90年代後半の置換では、東南アジア、韓国、日本の他地域から沖縄島に移入したJEV遺伝子型1型が、沖縄島に分布したと考えられる。この時期、農業形態の変化を伴いJEVの活動が低下した時期であったが、限局地域の感染環に留まらず、島広域に単系統のJEVが分布しており、リスク評価上重要な知見が得られた。また、日本の他地域と比べ (Nabeshimaら、2009)、沖縄島には外来性JEVが頻繁に移入していないこと、JEVが北からのルートで沖縄島に侵入してきたことが示唆された。
今回明らかになった変遷に、島嶼という地理的特徴、隔離が強く影響していると考え、更に検討を加える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

沖縄島から分離されたJEVの塩基配列決定は順調に遂行し、解析を行なっている。
JEVの性状(病原性、抗原性)解析に必要な動物実験の承認を取った。
当該年度の結果を国内学会で発表した。
論文出版に至っておらず、おくれている点もあるが、概ね順調である。

今後の研究の推進方策

検討する株数を増やし、塩基配列の決定及び系統樹解析を行なう。
ウイルスの性状を分析し、系統との関係性を解析する。
沖縄島住民の抗体保有率から、リスク評価を行う。
本研究の結果の分析、統轄を行ない、学会および論文にて発表する。

次年度の研究費の使用計画

JEVのシークエンス及び解析に関する諸費用 (消耗品、機材使用料等)
JEVの性状、主に抗原性と病原性の追加検討に関する費用 (消耗品等)
沖縄島住民の抗体保有率測定に関する費用(消耗品等)
研究成果発表(学会出張旅費、論文出版費用、英文校正費用)

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 沖縄島の日本脳炎ウイルスの変遷2012

    • 著者名/発表者名
      斉藤美加、只野昌之
    • 学会等名
      日本熱帯医学会
    • 発表場所
      とかちプラザ、帯広
    • 年月日
      20120905-20120906

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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