研究課題/領域番号 |
23510030
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
斉藤 美加 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90235078)
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キーワード | 沖縄 / 新興再興感染症 / リスク評価 |
研究概要 |
島嶼という地理的特性を持った沖縄島で分離された日本脳炎ウイルス(JEV)の変遷を、遺伝子解析により描き、国内外のJEV株との関係性を明らかにする。これにより、JEVの島への侵入ルート,侵入頻度を類推し、外来性JEV侵入リスクの評価を試みる。また、JEVの変遷から島嶼における生物学的遺伝的多様性と系統淘汰に関して考察する。 沖縄島1971-2004分離株102株のE遺伝子全領域1500塩基の配列を決定し、GenBankに登録されている年代別、国別の代表株の同領域の遺伝子情報を加え、系統樹解析を行った。 沖縄島で少なくとも2度、主流である系統の遺伝子集団の消失と別系統への置換が生じた。また、出現し消失した2つの異なる小さな集団が確認された。沖縄分離株の各遺伝子集団は独立しており、沖縄島に移入された後土着し、数年間変化を伴い維持された。また、同定点(豚舎),同月に分離したJEVに遺伝的に多様な集団の共存が見られた。沖縄への外来性JEVの移入頻度は、アジア地域や日本の他地域で推定される頻度(Nabeshimaら、2009、Tangら2010)より低い事が類推された。沖縄の分集団は韓国、九州株に近縁な集団、ベトナム・韓国株に近縁な集団が認められた。台湾との関係性は低かった。 生物学的性状の多様性の指標としてマウス神経毒性、神経侵襲性毒性を各遺伝子集団の代表株6株で比較した。1998年以降出現し主流となった集団である遺伝子型1型で神経侵襲性毒性が低い傾向が見られている。 沖縄島でのJEV感染環維持は外来性JEVの移入と土着の両方の機序によるが、移入はまれであると示唆された。系統樹解析より、沖縄への移入経路は、韓国・九州など北から南下する経路が推定され, 沖縄島でのJEVの北上説に一石を投じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
沖縄島から分離された年代別JEV代表株の塩基配列の決定、解析は順調に遂行し,解析を行なった。 生物学的性状比較では、想定外事故(水漏れ)発生で動物実験(マウスにおける神経毒性比較)に遅れが出ている。本年度延長し、動物実験を行なう。 当該年度の結果を国内学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験によるマウス神経侵襲性毒性、および、抗原性を指標とした生物学的性状の検討をおこない、多様性に関する解析をする。 本研究結果の分析,統括をおこない、学会及び論文にて発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験で給水瓶の水漏れ事故により、予定の実験が3度やり直しとなり、期間中に実験が終了できなかった。そのため総括、まとめ等にも遅れが出た。 動物実験にかかる費用:動物実験用動物マウス、動物実験室使用料 論文作製のための費用:英文校正、論文印刷費
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