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2012 年度 実施状況報告書

河川水温変動シミュレーションを用いた全国の淡水魚類に関する自然再生支援システム

研究課題

研究課題/領域番号 23510037
研究機関独立行政法人国立環境研究所

研究代表者

亀山 哲  独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (80332237)

キーワード自然再生 / 釧路湿原 / 生態系評価モデル / 水文モデル / GIS / リモートセンシング / 魚類
研究概要

研究2年目のH24年度においては、研究対象流域である北海道釧路川流域において、主にGISデータベース構築(生物情報と流域基盤情報)及びそれらのデータを入力条件とした水文モデル=分布型降雨流出モデルの開発を開始し、各水文パラメータの調整を図った後、初期稼働を確認した。モデルのテストランは2011年~2012年とし、水位・流量・水温の再現計算を行った。
1. 水生生物の生息情報のGIS化については、釧路川流域における水辺の国勢調査データを基に最新版まで整理した。過去からの調査位置をポイントデータとし、その地点の属性情報として、生物種の確認情報を入力した。
2.流域基盤GISデータについては、国土交通省の国土数値情報・水文水環境情報・環境省公共用水域水質データを基に、空間情報と属性値データを整理した。H24年度では、新たに河岸の詳細形状を表現可能なポイントデータを整備し、個別ID番号を用いて、将来的な生物生息情報等の位置登録を可能とした。
3.河川水温データ(対象流域(北海道釧路川)において水温ロガーを設置し、観測データをGISデータとして整理した。全観測地点は合計約40地点であり,最長14ヶ月のデータを取得し現在も記録継続中である。
GISデータフォーマットは全てESRI社のArcGISで使用可能なShpファイルとし,属性情報はMs Accessによってリレーショナル可能な物とした。またさらに上記データを活用して水温推定モデルの作成に着手し、2011年度観測データを用いてモデルの初期稼働を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究開始より2年間の進捗はほぼ順調であった。特に現地(北海道釧路川)での水温観測モニタリングサイトの設置に関しては、流況・天候などの条件に恵まれ41地点の観測地点が完成した。2012年は秋に大きな出水に見舞われ、データロガーの流亡もあったが、残された装置のデータ回収には成功した。
今後は現地モニタリングを継続するとともに、より長期的なデータからモデルパラメータの精度を高めより正確な再現計算を行予定である。
水文モデルの開発も順調に進み、開発局等から入手した水位-流量曲線と現地流量データを基にモデルの各種水門パラメータの調整を行った。予測値のばらつきはほぼ想定内であり、今後より長期的な観測データの利用によって予測精度の向上が期待できと考えている。今後は更なるモデル推定精度向上のため、土地利用データの高度化・河川断面形状の再検討・融雪時期の出水パターンの分析をさらに進める方針である。

今後の研究の推進方策

H25年度以降は水温変動シミュレーションにおいて現状の解析を継続する。特に流域の全体を含めた推定モデルの空間的な拡大を進める予定である。具体的には水温変動モデルについて改良を加え,1次元水文モデルと熱収支モデルを組み合わせて流域全体での河川水温の変換変動を再現する予定である。また継続中の水温データのモニタリングについては今年度も解析と並行して行い、最長で3年以上の連続データの取得を目指す。また研究成果については順次成果に応じて、口頭発表・誌上発表を目指す方向である。生物生息情報の整理の面では専門家らによる聞き取りに加え、水産業関連機関等からも情報を収集し、特に経年的な定量性のあるデータの入手を行う予定である。
今後の推進方策としては、流域の土地利用条件により生態系サービスを高められる形での変化シナリオを与え、それらを基にしたモデルの再計算を行い、水環境にどのような変化が現れるのかを研究課題とする予定である。

次年度の研究費の使用計画

H25年度の研究費執行計画は次のとおりである。
1. 旅費について;継続中の現地調査・研究打ち合わせ及び研究成果発表のために国内(北海道が中心)に合計3回程度、研究成果発表のために海外最大2回・国内1回程度の出張を予定している。現地調査の目的は主に水温ロガーのメンテナンス・データ回収・生物生息情報の入手等である。
2.設備備品費について;主に流域管理・自然再生・生態学等に関する専門書籍の購入に50(千円)程度執行予定である。また現地調査時の記録のためにデータ記録機器の購入を予定している。
3.消耗品費について;水文観測用データロガーやデジタル空間データの購入、また観測データのバックアップを目的としたデータ記憶媒体等を購入する。また流域の冬季の現地調査を行うために、ウェーダー・防寒具・魚類捕獲用具等を購入予定である。
4.その他について;さらに研究成果を英語で発表する場合の英文校閲費・学会等参加費の支出を予定している。データの取得量等の状況により、データベース構築費を雑役務費として予定している。また現地調査の補助を現地の環境NPO職員らに委託する事も予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Flow and Water Temperature Simulation with Future Scenarios for Nature Restoration in the Kushiro Watershed, Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Satoshi KAMEYAMA, Yoshiki YAMAGATA Seiichi NOHARA and Makoto SATO
    • 学会等名
      The 3rd Biennial Symposium of the International Society for River Science
    • 発表場所
      Beijing, China
    • 年月日
      20130805-20130809
  • [備考] International Society for River Science

    • URL

      http://www.2013isrs.org/

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公開日: 2014-07-24  

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