研究実績の概要 |
最終年度のH27年度では、北海道釧路川流域において、全水温モニタリング地点におけるGISデータベースを完成しモデルインプットデータとした。また気温上昇と降雨量増加シナリオを基にGISデータを拡充し、分布型降雨流出モデルのパラメータ調整を行うとともに実測データとの検証を試みた。特にこれまでに多くの計算時間を要していた各流入支流の計算を統合化し、流域全際の再現を可能とした。河川水温の再現に関しては、研究全体の総括を進めるとともに将来の気候変動シナリオを含む気温・降水量条件を設定してその影響評価を行った。主な実績としては次の3点である。 1.将来的な河川水温上昇シナリオに関して2012年と比較して+2℃・+3℃・+4℃の温暖化条件、降雨量については2012ベースに対して105%・110%・115%の増加を設定して再現計算を行い水温上昇の予測を可能とした。 2.研究成果を国際学会「2015 International Conference on River and Stream Restoration(REFORM)」において発表した。発表タイトルはFLOW AND WATER TEMPERATURE SIMULATION WITH FUTURE SCENARIOS FOR WATERSHED ECOSYSTEM MANAGEMENT IN THE KUSHIRO RIVER, JAPAN。 3.シミュレーションの結果、年間を通じて+4℃の気温上昇を条件とした場合、特に6月後半の時期に最大で2.5度程度の水温上昇が見込まれた。また降水量増加に関しては流量の増加は見られるものの、水温上昇に関しては抑制の効果があることが見いだせた。本研究の成果の一部を利用し、継続的な地域研究「科研費基盤C、グリーンインフラの利用による汚濁負荷削減を目的とした耕作放棄地の再生システム」をスタートさせた。
|