研究課題/領域番号 |
23510042
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤川 清史 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (60190013)
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研究分担者 |
稲田 義久 甲南大学, 経済学部, 教授 (50148607)
伴 ひかり 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (70248102)
渡邉 隆俊 愛知学院大学, 商学部, 教授 (00319831)
尹 清洙 長崎県立大学, 経済学部, 准教授 (90433408)
中山 惠子 中京大学, 経済学部, 教授 (90207944)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 産業連関分析 / マクロ計量モデル / 東日本大震災 / 環境政策 / 貿易と環境 |
研究概要 |
現在の日本が抱える問題は多いが,そのなかでも,喫緊の課題は,温暖化対策は進んでいないことではないだろうか.日本政府は,原子力発電所を温暖化対策の切り札にしていたが,東日本大震災の影響で,原子力発電所での発電を拡大するのは,非現実的なオプションになってしまった.再生可能エネルギーの利用拡大をより真剣に検討せねばならない.地球温暖化問題,あるいはエネルギー問題の解決が困難なのは,様々な要因が絡んでいる点にある.環境問題は,時間軸・空間軸を念頭において考えるべきであり,問題解決への道筋は重層的であり,異なる利害をもつ利害関係者がきわめて多い.したがって,政策担当者は,環境政策をより広い視野にたった「公共政策」として性格づけせざるを得なくなっている.2011年の3月に東日本大震災が起こった.この研究会では大震災からの復興対策も広い意味での環境政策であると位置づけてその分析を行った.平成23年度は震災などのために供給制約が大きい場合の,マクロ経済への影響を推計する経済モデルの開発に取り組んだ.産業連関モデルには,レオンチェフモデル,ゴーシュモデル,およびそのハイブリッド型があるが,それらを用いてどの程度の精度で推計できるかの検討を行った.そのなかで,環境政策の1つとして,再生エネルギーの固定価格買取制度も始まることになり,事業者による風力発電やメガソーラーへの投資,家計による太陽光発電設備の購入,電気自動車の導入などが進むと予想される.それによる経済効果の試算も行った.また,アジア地域での貿易および直接投資がさらに活発化すると考えられる.そうした背景から,貿易や直接投資が地域の環境負荷にどのように影響するのかについても,試算を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災が起こり,環境政策とくに,温暖化防止対策への社会への関心が薄れた.どうじに,大震災の影響の分析に対する要請が強まった.そのため,この研究会でも,大震災からの復興の影響の分析を優先させた.そのため,当初予定していたCVM,コンジョイント分析などには取り組めなかった.
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今後の研究の推進方策 |
産業連関分析については,アジア国際産業連関表2005年版を用いて,アジア各国の環境負荷の相互依存について試算する.炭素税および固定価格買取制度による家計負担モデルを日本以外に中国・韓国にも拡張を試みる.マクロ計量モデル分析については,中国のエネルギーモデルのプロトタイプを開発する,CDMによる効率改善,および炭素税のシミュレーションを行う.CGEモデルに関しては,環境税等の国内政策およびEPA等の国際政策が,東アジア地域にもたらす波及効果を分析するためのモデルを開発する.モデルの多国間モデル化の検討およびモデルの動学化の検討をおこなう.引き続き,中国・韓国の研究者との意見交換を行う.水問題および森林涵養の費用負担などについて,モデルベース及び調査ベースの研究を行う.CVM分析/コンジョイント分析については,東海三県の水需要と費用分担についての予備調査を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
調査と学会報告のための旅費に利用.また専門家を招聘しての研究会の開催,およびアルバイト雇用の人件費に利用.
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