研究課題/領域番号 |
23510042
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤川 清史 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (60190013)
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研究分担者 |
稲田 義久 甲南大学, 経済学部, 教授 (50148607)
伴 ひかり 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (70248102)
渡邉 隆俊 愛知学院大学, 商学部, 教授 (00319831)
尹 清洙 長崎県立大学, 経済学部, 准教授 (90433408)
中山 惠子 中京大学, 経済学部, 教授 (90207944)
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キーワード | 中国の環境問題 / 炭素税 / 排出量取引 / 貿易と環境 / 家計負担 |
研究概要 |
2012年度は大きく分けて二つのトピックについて研究した.そのひとつが災害の波及効果(供給制約)の分析,もうひとつが中国の環境問題の実証研究である. 藤川清史と下田充は,産業連関分析学会で,東日本大震災を対象にして,供給制約を産業連関分析モデルの枠組みで供給制約の波及効果の分析を報告し,同学会の機関誌に論文を発表した.稲田義久は,エネルギー制約を考慮した関西経済モデルを開発し,甲南大学経済学部の紀要に論文を発表した. 渡邉隆俊は,生態系サービスへの支払い(PES)と環境ラベルについての研究をまとめ,愛知学院大学産業研究所の紀要に論文を発表した.尹清洙は,多地域の応用一般均衡モデルの開発を目的とした英国の留学を終え,その内容を長崎県立大学調査研究報告書としてまとめた. 本科研は,京都大学の特定領域研究科研の一部という性格も持っている.その科研との共同研究として,国連大学から出版した.そこでは,稲田と下田は,日本の炭素税に関するマクロモデルについて報告した.藤川と伴は,東アジアのカーボンマーケットを想定した応用一般均衡モデルについて報告した. そのほかに,伴は貿易と環境負荷に関する研究を進行中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は最終年にあたる.これまで,アジア地域を対象として,貿易と環境問題,アジアン地域での環境の相互依存について研究を重ねてきた.これまでの研究成果は,環太平洋産業連関分析学会,国際産業連関分析学会,中国投入産出分析学会,国際経済学会,日本経済政策学会で成果を報告してきた.
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今後の研究の推進方策 |
研究の方向性は3つ考えている.一つ目は,OECDの世界産業連関表が公表されたので,それを基礎データにした,世界全体の環境負荷の相互依存の時系列変化を検討することである.これにより,アジア地域の環境経済の動向を明確にする.二つ目は,応用一般均衡分析の拡張である.貿易と環境の相互作用について,GTAPモデルを用いた分析,および,動学化されたアジア地域の応用一般均衡分析を行う.これにより,貿易の自由化や資本の自由化により,環境負荷がどのように変わるかの検討を続ける. くわえて,中国を対象にした環境政策の分析も進んでいる.環境税の賦課が地域間の格差の解消につながるかなどがその分析対象となる.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は出版の準備に入っている.本年度はおもにそのために費用に使いたい.具体的には,旅費:原稿を持ち寄った研究会の開催と学会での報告,謝金:研究会へ専門家を招いてのコメント,原稿の整理のための補佐員の雇用
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