今年度は下記の2つのテーマを軸に、バイオマス資源の利活用促進に資する技術・政策システムについて、同システムの普及による経済的・環境的効果についてより包括的な観点から評価するとともに、社会実装のための政策立案、制度設計について議論した。各テーマの具体的な成果について以下に示す。 第1に、内蒙古自治区における水資源管理とバイオマス資源の利活用については、昨年度は黄河全体の水資源管理の課題解決に向けた内蒙古自治区の取組みについて主に政策的な観点からレビューした。今年度は1)水権取引による効果的な水資源配分、2)バイオガスダイジェスター普及による農村貧困対策、3)石炭・バイオブリケット導入による社会環境的効果、4)砂漠化対策技術、5)塩害対策技術、に着目しそれぞれの政策動向、既存研究成果についてさらに詳細にレビューしたうえで、これらを効果的に連携させるための政策フレームワークを提案した。また同フレームワークの実践による社会経済、環境に対する複合的効果について評価した。 第2に、西安市における渇水リスク低減のための効果的水資源配分方策の検討については、西安市における水資源配分の現状については、これまで研究代表者、分担者らによる定量的な評価によりその課題が明らかになっている。本研究では特に“渇水期におけるバイオマス資源の確保”に着目し、渇水期におけるセクター間の効果的な水資源配分に資する技術・政策システムをデザインするとともに、その導入効果ならびに導入促進のための政策フレームワークについて検討した。ここでは、1)水権取引、2)バイオマス資源利活用促進による農村開発、3)PPP、CDM、Microfinance等の活用促進、が鍵となる政策であることが示された。
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