研究課題/領域番号 |
23510048
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大前 慶和 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (40315388)
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キーワード | 体験型環境教育の逆説的現象 / ダンボールコンポスター / エコスイーツ |
研究概要 |
第1に、「体験型環境教育の逆説的現象」と呼んでいる現象、すなわち、体験型環境教育を提供することにより、個人が理念的な環境問題の解決方法(~という地球環境問題を解決するためには、~すべきである・~すべきではない、といった内容)に慎重な態度を示す傾向にあるという現象に関して、説明のための行動変容モデルの構築を行った。キーワードは自己判断であり、自己判断のプロセスを習得することこそが環境配慮行動の実践には必要で、自己判断のプロセスを習得した個人は、自身の体験を重視することにより、過度に理念的な規範手的方法には懐疑的になるものと思われる。よって、体験型環境教育の逆説的現象は環境配慮行動を引き出すためには必要な過程なのであって、肯定的に捉えるべき現象であると考えられる。 なお、体験型環境教育の逆説的現象の再現性をチェックするために、ダンボールコンポスター(=体験型環境教育のための教材と位置づけられる)を体験してもらい、アンケート調査によって態度や行動の変化を測定する試みを、昨年度に引き続き実施した。しかしながら、平成25年度は残念ながら被験者数が不十分であり、測定結果の解析処理自体は見送った。 第2に、体験と知識の相互浸透をもたらす総合的環境教育プログラムとして、エコスイーツ活動の実践とプロデュースを内容とするものを開発した。これは当研究室に所属する学部生を対象に開発したプログラムで、高度な内容となっている。ダンボールコンポスターを活用して市民に生ごみの堆肥化を依頼し、自作生ごみ堆肥を遊休地に還元、市民と共に作物を栽培。収穫物はペースト化および製餡化を経てスイーツ店に販売し、スイーツ店がエコスイーツをそれぞれに開発・販売するという一連の活動に対して、学部生が活動支援を行うというものである。なお、本ビジネスモデルそのものには補助金は投入しておらず、プログラム開発にのみ投入している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度(平成23年度)は、震災の影響を予測することが困難であり、研究を意図的に強力には進めなかったことが最大の理由である。また、平成23~24年度に体調不良となったことも一因である。しかしながら、平成24年度および25年度でほぼ挽回できており、若干の遅れが生じている程度である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は事業最終年度であり、研究のまとめを行うこととする。 第1に、体験と知識の相互浸透をもたらす総合的環境教育プログラムとしてのエコスイーツ活動のあり方を、記述的にまとめる。 第2に、環境教育先進国が多い北欧の視察を行い、開発した総合的環境教育プログラムの最終的なチェックを実施する。 第3に、開発した総合的環境教育プログラムを学会で発表するほか、webページにもそのエッセンスを記載し、社会で多く活用してもらえる体制づくりを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度(平成23年度)に震災による不確定要素を考慮して予算執行を控えたことが最大の理由である。また、本年度はLCCの利用などにより、国内旅費の大幅な節約を実現させている。 教育先進国の多い北欧の視察を計画している。また、webを活用した成果報告の作成も予定しているところである。
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